ついに便乗犯…尾車親方“昔話”で脅された

[ 2010年9月11日 06:00 ]

自身に関係するトラブルについて会見する尾車親方

 維持員席問題や部屋宿舎に絡む暴力団関係者との交際などが取りざたされている角界のゴタゴタにつけ込んだ便乗犯が、ついに出現した。警視庁は10日、大相撲の尾車親方(元大関・琴風)に「暴力団との関係をばらす」などと書いた文書を送り付けて現金を要求したとして、恐喝未遂の疑いで男2人を逮捕した。尾車親方は関与を否定する一方で、20年以上も昔の話を引き合いに出されたことには困惑の色を隠せなかった。

 警視庁本所署によると、恐喝未遂の疑いで逮捕されたのは、職業不詳白井忠義容疑者(70)と、タクシー運転手宇佐見勝治容疑者(70)=いずれも千葉県市原市。容疑は8月上旬から9月上旬にかけて3回にわたり、暴力団関係者を装って「20数年前に暴力団関係者との会合に同席したことをマスコミに公表する。応じなければ勝手な行動を取る」などと書いた文書を尾車親方に送り付け、現金を脅し取ろうとした疑い。
 この日、両国国技館で会見した尾車親方は「ご迷惑をかけて申し訳ありません」と頭を下げ「23~24年前に都内で知人2人と会食した際に、知人に顔を出してくれと言われ別の部屋に連れていかれたが、そこに暴力団関係者の人がいたようだ。私はすぐに帰ったが、(脅迫は)そのことだと思う」と説明。そして「(反社会的勢力とは)一切かかわりもないし、言われる覚えもない」と関与を否定した。
 相撲協会は8月30日に「暴力団等排除宣言」を行い、反社会的勢力との関係断絶への確固たる決意を示したばかり。だが今回、20年以上も昔の話を“ネタ”に恐喝されたように、相撲協会の自浄能力の欠如に付け込まれた側面は否定できない。野球賭博問題に端を発し、維持員席問題、部屋宿舎問題など、反社会的勢力との交際が相次いで報じられているだけに、今後も“便乗犯”が現れる可能性はある。尾車親方は「すぐに調査委員会と警察に相談するのが一番。結果的にはそれが良かった」と話したが、それは一般的には当たり前の話。相撲界もようやく常識的な判断ができるようになってきた、とは言い過ぎだろうか。

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2010年9月11日のニュース