楽しさ倍増 水面の攻防

[ 2020年5月23日 11:54 ]

かつてカナダで釣った107センチのスティールヘッド
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】針に餌をつけて振り込み、ウキを見つめる。ウキが沈んだら竿を立てて、合わせを入れ、釣り上げる。そういうフナ釣りが私の釣りの始まりでした。ですから魚が水面まで浮き上がり、餌、またはルアーに食いつく瞬間が見えるなんて、最初は信じていませんでした。

 中学生の時、ルアーで初めて釣った魚はライギョでしたが、ルアーは水面から少し沈んでいたので、食いつくところは見えませんでした。その後、芦ノ湖にブラックバスを釣りに行った時、早朝、隣の桟橋で釣っていたお兄さんが黄色いラインでルアーを投げ、水面でカポカポ動かしながらルアーを引いていました。それを見て「あんなに派手な糸で、しかも水面で魚が食いつくわけがない」と思いましたが、変わった釣り方なので見ていたら、そのルアーに「バシャッ」とブラックバスが躍り出て食いつくのが見えました。人の釣りなのに興奮しました。その魚はバレてしまい、その後ヒットはありませんでしたが、明るくなってからその桟橋に行き、聞いてみるとそのお兄さんは丁寧に教えてくれました。

 そのルアーは「ジッターバグ」といい、水面で釣る方法を「トップウオーターフィッシング」というのだと。

 時は流れ、今では水面で釣るのは当たり前のように行っています。クロマグロやGT(ロウニンアジ)はルアーで釣る場合、ペンシルベイトとか、ポッパーと呼ばれるトップウオータープラグが一番よく釣れるのではないでしょうか?私自身も最大のGT35キロ、クロマグロ36キロはポッパーで釣りました。

 そしてバブル時代にカナダに通っていた頃、究極のフライフィッシングと言われたスチールヘッド(降海型ニジマス)107センチは「バブルヘッド」という水面用のフライにドバッと出た瞬間を今でも鮮明に覚えています。

 大物に限らず渓流の釣りでもドライフライは面白いです。水面に流れる水棲昆虫を捕食する行動(ライズ)は魚がそこにいて餌を食べてるよと教えてくれているようなものです。

 そこにこれぞというフライを選んで投げ込み、その見えている魚がフライに浮上して口開けるシーンの興奮度は言葉では言い表せません。

 日本の渓流釣りでは水面での釣りが特に有効です。毛バリを沈めるテンカラはもっと釣れますが、たくさん釣るより見て釣った方が面白いのでドライフライを楽しんでいます。

 そして今では最も身近になった水面釣りは多摩川のコイ。おそらく水面を流れるパンフライなど、ドライで釣るのでなければ、ここまでコイにハマらなかっただろうと思います。

 釣果そのものよりも楽しさ倍増で水面に誘い出す釣りは、余裕と遊び心がないと、なかなか持続できないことも事実です。一日中ではなく、ここぞと言う時にやってみてもいいかと思います。
(東京海洋大学客員教授)

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る