小倉隆史氏「3―4―3はベターだったがベストではなかった」

[ 2011年6月8日 06:25 ]

 キリン杯でザッケローニ監督は新システム3―4―3を採用したが、2試合とも0―0の引き分けに終わった。新布陣導入にはどんな意味があるのか。この結果を踏まえ、3カ月後に迫ったW杯予選までに何をすべきか。スポニチ評論家で元日本代表FWの小倉隆史氏(37)が分析する。

 3―4―3はベターだったが、ベストではなかった。長友と内田の両サイドのMFが前線のスペースにまで進入して、3バックの両サイドの伊野波か吉田のどちらかがサイドバックのように前に出るという形はできていた。回数は少なかったが、内田や長友がDFラインの裏に仕掛けていく動きもあったし、逆に内田がゴール前に飛び込んでいく場面もあった。このシステムを導入したザッケローニ監督の狙いは見えたと思う。

 ただ、チェコが守りを固めてきたことで、完全に崩し切ることはできなかった。3―4―3はトップ下がいないために、ボールを受けたFWが我慢してキープしないと機能しない。だが、3トップの中央で先発した李は頑張ってはいたが、相手DFにつぶされて終わりという場面もあった。時には中盤の手前まで下がってきてボールをさばいてから、また前線へと飛び込むなど、工夫してほしかった。また、チームとしても、李が孤立している場合はDFラインの裏に一発でボールを放り込むなど、揺さぶりを掛けてもよかった。

 チェコに完全に崩された形はなかったが、守備面での怖さも感じた。ザックジャパンは前線とボランチが連動してプレッシャーをかけるが、そこでかわされたときにピンチになる可能性が高い。4バックより1人DFが少ないため、カウンターは要注意になる。相手の攻撃を遅らせるなど選手個々の対応をより徹底させる必要がある。

 個人で目を引いたのは本田。フィジカルの強さは相変わらず目立っていた。体の大きいチェコの選手を相手にしても、しっかりボールをキープしていた。ザックジャパンにとっては大きな武器になる。ただ1人ではゴールを生むことはできなかった。

 一方、長友はチェコのサイドバックがマークしてきたために、なかなか突破できなかった。前でプレーする岡崎とのコンビネーションでも打開しようとしていたが、うまくいかなかった。もう1人絡んで3人の連係でDFラインの裏に飛び出すなど、もうひと工夫があれば崩し切れたと思う。

 この2試合で3―4―3をテストしたことは決して無駄ではない。このシステムは、カウンターを受けると大きなピンチにつながることから、小さなミスやズレが命取りとなる。個人の一つ一つのプレーの精度と、オフ・ザ・ボールの動きといったチーム戦術の成熟が求められる。選手たちは考えてプレーしなければならない。今後レベルアップするための大きなステップだととらえたい。

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