「ぼっち・ざ・ろっく!」二次“弦”旋風 JKアニメが令和の高校生バンドブーム火付け

[ 2023年10月1日 05:00 ]

高校生バンドブームを起こしている「ぼっち・ざ・ろっく!」
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 昨秋放送されたアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」が音楽界で旋風を巻き起こしている。女子高生バンドを描いた作品で、主題歌などを収録したアルバムは今年上半期のオリコンデジタルランキングで1位を記録。高校生のバンドブームに火を付け、楽器業界も潤している。声優陣には番組などの出演オファーが相次いでおり、年末に向かってさらに存在感を増しそうだ。

 音楽ファンを驚かせたのは今年7月だった。主人公のキャラクターが音楽専門誌「ギター・マガジン」の表紙に登場。エリック・クラプトンやジェフ・ベック、布袋寅泰ら大物を使ってきた創刊43年の同誌の表紙を初めてアニメキャラが単独で飾った。それほど、今のバンドシーンに欠かせない存在ということだ。

 昨年10~12月の放送後、バンドを組む10代が急増している。そのため楽器も売れており、帝国データバンクは9月20日に「『ぼっち・ざ・ろっく!』の影響で、新たにギターを始めるライト層向けの販売が増加」とリポートを発表。主人公が作中で2本目のギターとして買ったヤマハのパシフィカが人気で、イシバシ楽器御茶ノ水本店の中島崇店長は取材に「例年の倍以上は売れています。アニメに感化されて購入される初心者の高校生が多いです」と明かした。

 作中で主人公が組むバンド名をタイトルにした昨年12月発売のアルバム「結束バンド」は売れ続けている。オリコンの今年上半期ランキングで、女性グループ史上初のデジタルアルバムランキング1位を記録。デジタル配信だけでなく、CDも人気で、10万枚が大ヒットと言われるCD不況下で22万枚を売り上げている。

 人気は下半期に入っても続き、先月には物語の舞台である東京・下北沢の公認アンバサダーに結束バンドが起用された。NHKの音楽番組「NHK WORLD―JAPAN MUSIC FESTIVAL」(放送日未定)に出演することも発表された。8月にはアニメの舞台版も上演され、人気を集めた。

 「ぼっち…」は陰気で人見知りの主人公がバンドに加入し、個性的なメンバーとともに成長していく物語。ギャグの多い作風からは想像も付かない本格的な演奏と歌声に圧倒される視聴者が続出し、人気が広がった。プロデューサーの石川達也氏は「これからもアニメ、音楽ファンはもちろん『ぼっち・ざ・ろっく!』のファンの方にも喜んでもらえる仕掛けをしていきたいと考えています」と予告。結束バンドの声優陣には番組出演オファーが相次いでおり、NHK紅白歌合戦などの音楽特番が多い年末に向けて活躍が見込まれる。アニメの続編を期待する声も多く、今後が楽しみだ。

 ▽ぼっち・ざ・ろっく! 漫画誌「まんがタイムきららMAX」(芳文社)で2018年から連載中のはまじあき氏の同名4コマ漫画が原作。TOKYO MXなどで全12話が放送された。制作は「鬼滅の刃」シリーズなどで知られるアニプレックス。番組の公式X(旧ツイッター)のフォロワー数は昨年10月の放送開始時に8万人だったのが、終了時に44万人、現在は61万人と増え続けている。

 ▽バンドブーム 1970年代後半からサザンオールスターズらが台頭して巻き起こった。80年代後半から90年代には歩行者天国発の「ホコ天」、TBS「平成名物TV・いかすバンド天国」が火付け役の「イカ天」ブームが到来。90年代後半にはビジュアル系バンドも流行。2010年ごろには、軽音部の女子高生バンドを描いた漫画「けいおん!」のヒットでガールズバンドが台頭。バンドブーム以前の60年代にはザ・タイガースらによるグループサウンズ(GS)ブームが起きた。

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