「どうする家康」小手伸也 異例の長文コメント3000字超!忠世役に感謝&共感「バイプレイヤーの矜持」

[ 2023年10月1日 20:45 ]

大河ドラマ「どうする家康」第37話。徳川家康(松本潤)から相模小田原を任された大久保忠世(小手伸也・左)は…(C)NHK
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 嵐の松本潤(40)が主演を務めるNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜後8・00)は1日、第37話が放送された。主人公・徳川家康は江戸へ国替えとなり、家臣団と別れ。“三河一の色男”こと家臣団の中間管理職・大久保忠世役を好演した俳優の小手伸也(49)から“退場”にあたり、3000字を超える異例の長文コメントが到着した。

 <※以下、ネタバレ有>

 「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどの古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛ける大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描く。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となる。

 第37話は「さらば三河家臣団」。側室・茶々(北川景子)が豊臣秀吉(ムロツヨシ)との子・鶴松を産んだ。勢いづく秀吉は北条攻めを決定。和平を訴える徳川家康(松本潤)に先陣を命じ、勝てば北条領をすべて与えるというが、それは家康にとっては故郷・三河を離れることでもあった。家康は家臣団に事情を打ち明けられぬまま出陣し、秀吉は20万もの大軍で小田原城を包囲。家康は北条氏政(駿河太郎)に降伏を促すが、全く応じようとしない。氏政には関東の雄としての意地があった…という展開。

 「小田原合戦」「小田原征伐」(天正18年、1590年)は終結。家康は秀吉から「関東移封」「関東国替え」を命じられた。

 家康は家臣団に国替えの件を報告。しかし、家臣団から異論は出ない。本多正信(松山ケンイチ)に頼まれた大久保忠世(小手伸也)が事前に説得していた。

 家康は土下座。本多忠勝(平八郎)(山田裕貴)は「我らは生き延びたんじゃ。信じられるか。今川、武田も滅び、織田も力を失った乱世を、我らは生き延びたんじゃぞ」、鳥居元忠(彦右衛門)(音尾琢真)は「貧しくて、ちっぽけだったわしらがな。信じられんわ」、平岩親吉(七之助)(岡部大)は「しかも、あの弱虫な殿の下でじゃ。これ以上、何を望みましょうか」。一同と家康は頭を下げ、感謝し合った。

 井伊直政(板垣李光人)は上野箕輪、榊原康政(小平太)(杉野遥亮)は上野館林、忠勝は上総万喜、元忠は下総矢作、親吉は上野厩橋を与えられ、城持ちの大名に。相模小田原は忠世に任された。名を呼ばれなかった服部半蔵(山田孝之)は家康とともに江戸へ。離ればなれになっても、家臣団の心は一つのまま――。

 次回は第38話「唐入り」(10月8日)が放送される。

 織田信長役の岡田准一も退場回となった第28話「本能寺の変」(7月23日)の放送前・放送後分3017字、石川数正役の松重豊も退場回となった第34話「豊臣の花嫁」(9月3日)の放送後分2768字と長文コメントだったが、小手(3195字、原稿用紙8枚分)は2人を上回った。

 ■小手伸也コメント全文

 ――忠世役を演じるにあたり、意識してきたこと

 今作のお話を頂いた時、忠世の人物像についてうかがった情報は「自称色男」「薄毛を気にしている」など、これはコメディー担当ということなのかな?という要素がてんこもりでした。扮装に関しても、家臣団の中で唯一ピンクを着こなしたり、スカーフを巻いたり、おしゃれに気を遣っている割には誰も触れないなど、いちいちコメディー要素満載なキャラクターです。ですが、僕自身は、忠世の一番の魅力は忠義にせよ美意識にせよ、決してブレないその実直さにあるのではと思っていたので“どんな時でも本人はいたって真面目”というのは軸にしようと考えていました。

 史料や逸話に残っている大久保忠世は、領民や家臣に対する思いやりが強く、殿(徳川家康)への忠義も厚く、今でも地元の方から愛されていて、全然コメディー要素のない人。僕だからというのもあったと思いますが、古沢さんが思い切った味付けをしてくださったので(笑)、実際に伝わる忠世像とのバランスを取りながら、面白さはありつつも尊敬できる人にしたいというのは意識していました。つまるところ、僕自身が決してイケメンではないからこその「自称」なのでしょうが(笑)、家臣団の皆が冗談混じりではなく、割と自然に「色男殿」と呼んでくれる以上、きっと「色男」と思える何かが忠世にはある。だとすれば、彼のメンタルが相当イケメンなのだろうという解釈に至り、あらためて皆さんとのお芝居の中でバランスを取る支点を発見することができました。

 とはいえ、忠世は決して台詞の多い役というわけではなく、本編で史料に残る忠世の活躍すべてが描かれるわけでもないので、場面に存在する必然性、あるいは存在しなかった必然性を表現するため、アドリブやリアクションを多用し、各回の間やシーンの行間を埋めるお芝居を特に意識しました。

 例えば、真田家との上田合戦について。今作では深く描かれませんでしたが、忠世はそこでかなり苦戦しました。画面に映らないところで戦に出ていたことを表現しなければと思い、第35回(9月17日)で真田昌幸(佐藤浩市)が殿の前に現れた時、今までの忠世では考えられないくらい凄くイライラしているというお芝居を足しました。いかに真田に手を焼いてきたかというのをにじませたいと思いからでしたが、本編で描けない部分を少しでも視聴者の皆さんにイメージしてもらうことで、シーン前後の説得力につなげられたらというのは考えていました。

 また、徳川家臣団との関係性に関しても同様で。史料では、例えば、正信(松山ケンイチ)の帰参を忠世が助けたという説や、戦場でわがままを言う万千代(井伊直政/板垣李光人)を忠世がたしなめたという逸話もあるそうです。本編で語られなかったエピソードをまるっきりなかったこととしてスルーせず、あくまで裏設定として、もしかしたら見えないところで、時には他の家臣たちの肩を叩いてやったり、たしなめたり。皆に気を配り、徳川家臣団をかげで支えていたのかなと想像しながら演じていました。

 輝くべき人が輝くために全力を注ぎ、作品に彩りを与えるというのが、僕が俳優として目指しているバイプレイヤーの矜持なのですが、忠世の生き様にも近いものがあるなと思っていました。

 ――心に残っているシーン

 第25回(7月2日)で若殿(松平信康/細田佳央太)が自害してしまうシーンは特に心に残っています。忠世は守りの要として留守居を任されることが多い、言わば「2軍のキャプテン」的ポジションなので、最前線で起こった出来事を後から聞くケースも多かった中、信康様の死は自分が預かる二俣城で、目の前で起こった出来事でもあったので…。それをどうすることもできなかった苦しさが凄くありました。忠世が実際に小田原城主となった後も、殿がそうしたように忠世もまた信康様を弔うためのお寺を建てていまして、それはきっと悔恨の念以上に、信康様に対する敬愛と、殿のお心に生涯寄り添い続けた忠世の忠心があったのだろうと思います。

 ――徳川家臣団について

 三方ヶ原の戦いで夏目殿(広次/甲本雅裕)とのんべえ殿(本多忠真/波岡一喜)が討ち死にしましたが、それまでの家臣団のバランスは凄く良かったんです。ベテラン組とやんちゃな若者組。その中盤を夏目殿、のんべえ殿、忠世が支えるという構図で。いつも冷静で論理的な夏目殿と、平八郎(本多忠勝/山田裕貴)にもガツンと言って家臣団の若手を締めてくれるのんべえ殿。そんな2人が亡くなってしまった三方ヶ原以降、2人が担っていた役割を少しでも担いたい、大人にならなければと、忠世の意識も少しずつ変化していったのかなと想像しながら演じました。台所で話し合っているシーンなど、昔はあるもの必ず手を伸ばしてモグモグ食ってましたが、段々それにも手を付けられなくなったり(笑)。

 史実では、大久保氏には兄弟が多く、長男の忠世をはじめ皆、徳川家に仕えていました。忠世の世話好きはそうした長男気質もあったのでしょうが、今作においてはその関係性を平八郎や小平太(榊原康政/杉野遥亮)、万千代にも投影させてもらいました。なので、彼らが話す時は大抵そちらを見ています。肩を叩いたり抱き合ったりは自然な感情から出たアドリブが多く、やっていて楽しかったです。

 あと、正信に関しては第9回(3月5日)の回想以外ほぼ関係性が描かれないままだったので、世話のかかる腐れ縁を本編で描けない分どう表現するか、帰参以降は特に悩みましたが、軍議の最中、彼が散らかした白石を黙って片付けるなど、他の家臣たちとは違う反応を心掛けました。忠世にとって家臣団は家族そのものでしたが、正信に関してはどちらかというと友人のような感覚だったのかな(笑)。

 今作の魅力の一つは、家臣団の群像劇だと思っています。それぞれ異なる良さを持つメンバーが、時に衝突しながらも“殿のため”という共通の思いを持って進んでいく。協力して乱世を生き抜いていく人間模様の面白さがあると思うので、忠世もそのピースの一つになれていたら本望だなと思います。

 ――第37回、家臣団が集まったシーンについて

 忠世は徳川家が生き延びられるように、家臣団の一員として結束して殿を支えるという意識でいつも行動しているだけ。誰かから感謝されたいという意識は毛頭なかったと思うので、第37回最後に家臣団が集結するシーンを台本で初めて読んだ時は、言いしれぬ気恥ずかしさがありました(笑)。

 最後、殿に対して「ありがとうございました」と頭を下げるシーンは、本当に感無量でした。これまでも、第1回(1月8日)で殿が久しぶりに岡崎に戻ってきて、家臣団が宴を開いたシーンを時々思い出すことがあったのですが、まさに37回の撮影中も、ふと思い出して。艱難辛苦を共に乗り越え、笑ったり泣いたり怒ったりと一緒に年を重ね、殿の変化を近くで見守ってきたんだなと思うと、心底ぐっとくるものがありました。

 放送を見ていても、自分たちのアルバムをめくっているような、不思議な気分になるんです。1年以上にわたる撮影で同じ役を演じ続けたのは今作が初めてでしたが、人生を演じるというのは本当に面白く、役者冥利に尽きる仕事だったなと、あらためて思いました。僕はこの作品を通じて大久保忠世として生きられたことを誇りに思いますし、忠世で良かったと心から思っています。この出会いを一生忘れることはないでしょうし、松本潤さんをはじめ、すべての共演者、関係者の皆さまには感謝しかありません。

 無事クランクアップを迎えましたが、もうこの現場に来られないんだと思うと、純粋に寂しいです。これからはいち視聴者として徳川の未来を最後まで見守っていきたいですし、引き続き撮影を続ける仲間たちを心から応援したい気持ちです。それはきっと、その後、小田原で天寿を全うした大久保忠世公が、あの世で殿の身とその行く末を案じながら、生き残った家臣団の皆を叱咤激励するような、そんな気持ちとどこか近しいような気がしてなりません。

 殿!皆も!忠世は幸せ者にございましたぞ!心より、感謝申し上げる!

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