松竹新喜劇の最年長新リーダー・曽我廼家一蝶 初日公演引き締める熱演「誰かが突き抜けなければ」

[ 2023年5月13日 16:13 ]

新体制となった「松竹新喜劇」を引っ張るリーダーの1人、曽我廼家一蝶
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 藤山寛美の孫、藤山扇治郎(36)ら若手5人が新リーダーとなった松竹新喜劇の「五月新緑公演」が13日、大阪松竹座で開幕した(25日まで)。

 新体制となって初の公演。リーダー最年長の曽我廼家一蝶(41)は「よく言えば“5人で力を合わせて”という意味ですけど、本音を言えば誰かがドーン!と突き抜けなければ、という危機感もある」と力を込めた。

 この日は1本目の芝居「花ざくろ」に“おしゃべり”な植木職人役で、いきなり笑いをかっさらい勢いづけた。2本目の「三味線に惚れたはなし」ではしっかり者の番頭を熱演。若手が中心となった配役の中、芝居を引き締めた。

 寛美らが1948年に立ち上げた松竹新喜劇は寛美亡き後、91年から3代目渋谷天外が劇団を率いてきたが、劇団の75周年を機に代表を勇退。若手にバトンを引き継いだ。大きな決定に一蝶は「曽我廼家という大きな名前をもらってまだ2年。プレッシャーはありますが今はすごくワクワクしています。どうなっていくのか楽しみ」と頼もしい。

 大阪府八尾市出身。実家は演劇界とはまったく縁がない。習い事の一環として子役を始め、さまざまな活動をしていたころに天外と知り合った。18歳で初めて観劇した名作「人生双六」の奥深さに衝撃を受けた。大阪芸大の卒業を目前に控えた22歳の12月。初めて「裏町の友情」で新喜劇の舞台を踏んだ。「そっからはのめり込みましたね。映像を見あさったり、本を読んだり…。自称・松竹新喜劇オタクです」と笑う。

 そのマジメな性格から、アルバイト先で「正社員にならないか?」と声を掛けられたことは数知れず。それでも劇団を辞めようと思ったことは1度もない。「新喜劇の芝居ってすごい難しいんですよね。うちの劇団員ってレベル高いし、その中で勉強させてもらっているんだ、と思ったらありがたくて」と話す。

 今は両親が一番のファンでいてくれる。今回のリーダー昇格は特に父が喜んでくれた。「“ザ・昭和”みたいな怖い父が、近所にチラシとか配ってくれてるの見たら、そらうれしいですよ。でも、こっからなんです。75周年でホッとしてる場合じゃなくて、僕らは次の100周年を見据えてやっていかないと。まずは公演回数を着実に増やしたいですね」。弾む声も力強かった。

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