扇千景さん死去 息子2人が思い 鴈治郎「母らしく、最期まで気丈な姿でした…大好きな父のもとに」

[ 2023年3月13日 18:24 ]

2021年、坂田藤十郎さんをしのぶ会で涙を拭う扇千景さんと中村扇雀(左)、中村鴈治郎(右)
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 元参院議長で女優の扇千景(おおぎ・ちかげ、本名林寛子=はやし・ひろこ)さんが9日午前7時56分、食道胃接合部がんのため、東京都内の病院で死去した。89歳。神戸市出身。密葬は近親者で行った。本葬は27日正午から東京都港区芝公園4の7の35、増上寺光摂殿で。喪主は長男で歌舞伎俳優の中村鴈治郎(なかむら・がんじろう、本名林智太郎=はやし・ともたろう)氏。

 扇千景さんの死去を受けて息子の中村鴈治郎と中村扇雀が松竹を通じてコメントを発表した。

 鴈治郎は「母らしく、最期まで気丈な姿でした。かつては女優もしておりましたが議員生活が長かったので、息子ながら、母親というよりも議員としての顔を強く感じました。また、議員を引退してからは父の面倒をずっと見ており、父にかかりっきりでしたが、父が亡くなってからこの2年間以上は母ひとりでしたので、一緒に食事をするなど同じ時間を過ごすことも増えていきました。そんな折に、母親だと改めて実感したものです。最期は私たちの母として、苦しまず、穏やかに旅立っていきました。今頃は大好きな父のもとにいて、きっと喜んでいると思います。皆さまには、生前賜りましたご厚情に深く御礼申し上げると共に、どうぞ私どもにも変わらぬご指導、ご鞭撻をいただきますようお願い申し上げます。中村鴈治郎」と母への思いをつづった。

 扇雀は「この度、母が89歳で身罷りました。入院して一ケ月ほどでしたのでスッと安らかに永眠いたしました。悔いのない人生であったと思います。銀行員の娘として生を受け宝塚の生徒として舞台を踏み、映画で父と知り合い兄と私を産み女優から参議院議員に転身し参議院議長まで務め上げ、歌舞伎俳優である父の231年振りに復活した坂田藤十郎襲名を支え内容の濃い人生だったと思います。私は母に似ていると言われることが多く血液型も同じで性格も似ていたと思います。親子として共に過ごす時間は少なくなかったのですが多くのことを教えられました。今は母の子であったことをただただ感謝しています。改めて生前賜りましたご厚情に対し、厚くお礼申し上げますと共に今後私ども遺族に、変わりなきご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。中村扇雀」と記した。

 扇さんは1952年に神戸高卒業後、54年に宝塚歌劇団入団。映画やドラマで活躍した後、57年に歌舞伎俳優の2代目中村扇雀さん(後の4代目坂田藤十郎)と結婚するため退団した。一時芸能活動から遠ざかるも、59年、日本教育テレビ(現テレビ朝日)の「君はいま何を見つめている」に出演し第14回芸術祭個人奨励賞を受賞。73年から4年間、長寿番組のワイドショー「3時のあなた」で司会を務めた。

 77年に政界進出し、参院選全国区で自民党から初当選。94年新生党入りし、同年新進党結成に参加した。98年自由党に参加するが、00年の連立離脱に伴い、新党・保守党を結成し初代党首に。同年建設相、国土庁長官に就任。運輸相を経て、01年中央省庁再編で初代の国土交通相となった。03年に自民党に復党し04年には女性初の参議院議長に就任。07年、次期参院選に出馬せず政界引退を表明した。

 夫の坂田藤十郎さんとは63年連れ添い、2020年に藤十郎さんが88歳で亡くなった際には「私と縁があって63年。互いに一緒にいられたことが幸せでした」と語っていた。

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