大河「麒麟がくる」ヒロイン・門脇麦(下) 「群像劇だから光秀がより深く見える」

[ 2020年8月29日 11:30 ]

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」でヒロインの駒を演じる門脇麦(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK大河ドラマ「麒麟がくる」(日曜後8・00)が30日に再スタートする。ヒロイン・駒を演じる女優の門脇麦(28)に思いを聞いた。

 ──駒が平和の象徴の「麒麟」について語る重要な役割を担ったことは?
 「第1話でタイトルを言うことについては凄くプレッシャーを感じたことを覚えています。台本で『麒麟がくる』という言葉を読んだ時は、さすがに『どうしよう』と思いました。それを架空のキャラクターに言わせる脚本の池端俊策さんのチャレンジ精神が本当に凄いと思います」

 ──架空のキャラクターの活躍がこの大河の特徴?
 「最初はあまり史実に絡んでいなかったけれど、今はどんどん史実と絡んで、有名な武将同士を会わせたりしています。歴史を動かしたのは、史実に名前が残る人はもちろんだけれど、庶民、その他の人たちの力も大きいというのを描こうとしているチャレンジ精神が凄いと思います」

 ──ずばり、この大河の魅力は?
 「群像劇で描かれていることだと思います。庶民からの目線が強くて、駒がこれだけ光秀や秀吉、家康と会ったりしている。群像劇で描かれているからこそ、光秀がより深く見えてくる。これまで、いろいろな伏線が張られていますが、後半、その伏線同士が絡み合ってさらに深くなって面白くなっていくように描かれています。各パートの情報量が多い。池端さんは凄いと思います」

 ──今、駒から見た光秀は?
 「熱い部分と不器用な部分と真っすぐがある人だと思います。これは長谷川博己さんのお力だと思いますが、光秀が記号的になっていないんです。演じる時、誰にでも分かるようなパッケージを作ってしまった方がある意味では楽なんですが、長谷川さんはそれをせずにいます。だから、これから光秀がどうなるかという楽しみがあります」

 ──現時点では光秀がなぜ本能寺の変を起こすか全く分からない?
 「分からないです。どうなるんでしょう…。今の光秀が本能寺の変を起こすようには見えないです。そこをギリギリ保っている感じが凄いと思います」

 ──駒はどうなってゆく?
 「これから財をなし、政治を動かす人たちとの出会いも増えていきます。今までは政治とは別パートでしたが、今後は少しずつ軸に向かっていきます。駒は戦の時代でも、平和と希望を見つめている。『麒麟』という言葉については今後もキーパーソンです」

 ──駒のどこを見てほしい?
 「オリジナルキャラクターの動きは、池端さんが描きたいことが凝縮されている部分でもあります。駒がなぜ存在するのか、駒の役割は何なのか、分からない人も多いかもしれませんが、なぜ『麒麟がくる』に駒、望月東庵(堺正章)、伊呂波太夫(尾野真千子)、菊丸(岡村隆史)が登場するのかを考えながら見て頂くと、より一層楽しめると思います」

 ──最後に視聴者にメッセージを。
 「いよいよ物語は後半部分に差し掛かります。張られていた伏線は、ここからのストーリーのためだったと言って過言ではありません。光秀がなぜ本能寺の変を起こすに至るのか、麒麟とはいったい何なのか、楽しみにご覧頂きたいです」

 この大河は一種のミステリー。なぜ光秀は信長(染谷将太)を殺さなければならなくなるのか?光秀が主人公の戦国物語である以上、過去の映画やドラマにはない斬新な動機が提示されることを期待する。駒はいわば重要参考人。その動向が解明のカギになるのではないか。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。

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