借金4300万円からV字回復させた77歳のカリスマラーメン店主、コロナ禍の倒産危機救う“秘策”

[ 2020年8月29日 08:00 ]

人気ラーメン店「麺家うえだ」の“カリスマ創業者”上田みさえさんが「バース・デイ」に出演する(C)TBS
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 埼玉県新座市の人気ラーメン店「麺家うえだ」の“カリスマ創業者”上田みさえさん(77)が、29日放送のTBS「バース・デイ」(土曜後5・00)に出演する。新型コロナウイルス感染拡大の影響で打撃を受けた店を守るため、77歳にしてなおラーメンに情熱を注ぐその戦いぶりに迫る。

 みさえさんはかつてラーメン作りのため、週6日も店で寝泊まりする生活を送っていた。平均睡眠時間は3時間、自宅に帰るのはシャワーを浴びる1時間のみと、ラーメンに全てを捧げた結果、人気カリスマラーメン店主として多くの雑誌に取り上げられた。彼女の作るラーメンを求め、連日行列が絶えなかった。

 みさえさんは31歳のときに飲食業を始め、喫茶店を経営。地元埼玉で大成功を収めると、次々と店舗を増やし、45歳で焼き肉店をオープン。4つの店舗を持つ実業家として活躍した。だが「人を使ってやるのも疲れてきたし、もうひとりで全行程できるものはないかなって思って、それがラーメンだった」と、56歳のときにすべての店をたたみラーメン屋になると決意。一から独学で学び、転身から2カ月で焼き肉店の経験を活かし牛骨を使ったラーメンを作り出した。

 当時は牛骨が珍しいことも手伝って雑誌に取り上げられるなど、店は軌道に乗り始めた。だが2001年9月、BSE問題が直撃。牛の骨を使うため大打撃を受けた。店の売り上げは3分の1以下に落ち込んだため、苦渋の決断で牛骨を諦め、鶏ガラスープを開発。ところが今度は鳥インフルエンザが直撃。客足は完全に途絶え、店は廃業寸前まで追い込まれてしまった。

 みさえさんは「結局、家を売って、借金が4300万くらい残って。とてもほかの借金も払えないし、もうそれは本当に立ちなおれないくらい」と振り返る。だが諦めず、これまでにないインパクトのある濃厚なラーメンを作ろうと一念発起。そして、現在の特濃魚介とんこつラーメンを作り上げた。

 昨年6月、みさえさんは20年続けてきたお店をラーメン仲間に譲り、今は週に3回ほど片付けや仕込みに入るだけだという。みさえさんは今年2月に新座市議会議員選挙に出馬し、77歳で見事当選。現在は多忙な日々を送っている。

 みさえさんがラーメン作りの表舞台から退いてちょうど1年、新型コロナウイルス感染拡大により「麺家うえだ」の客足は5分の1にまで減少した。

 これまでいくつもの辛い経験を乗り越えてきたみさえさんは、自ら築いた店を守るため新たな“秘策”を打ち出した。「日本全国ほとんどの飲食店が大変だと思うんですよ。ただ明けない夜はない。それを信じて、ここはみんな必死になって戦ってほしいと思う」。

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