井上ひさし氏の遺志継ぐ…吉永小百合 山田監督の執念感じた

[ 2015年12月13日 10:43 ]

インタビューに答える吉永小百合

 終戦の年に生を受け、戦後とともに歩んできた吉永小百合の119本目の出演映画「母と暮せば」が12日、盛況の初日を迎えた。「嵐」の二宮和也(32)との母子役共演も話題の感動作。「家族の物語として見ていただいて、その“向こう側”にあるものを感じ取ってもらえたら」と願いを込める。

 広島出身の詩人、原民喜の「鎮魂歌」に曲をつけた坂本龍一(63)の音楽が感動に拍車をかける。心にしみ入る合唱曲。「“ナブッコ”ってあるでしょ」とクラシック通の吉永は、ヴェルディのオペラを引き合いに出した。第3幕で歌われる合唱「行け、我が想(おも)いよ」はイタリアの第二の国歌ともいわれている。「この曲もそうなってほしい。最初はつらいんだけれども、あしたを見つめて勇気を与えるような楽曲。本当に素晴らしい!」

 息子の二宮、その恋人だった黒木華(25)、そして伸子にほのかな恋心を抱いている加藤健一(66)演じる上海のおじさん。この3人を相手にした芝居はセリフの量だけで気が遠くなりそうだった。変な癖がつかないように、長崎弁の指導のテープができるのを待ってから体に入れる作業に努めなければならなかったから余計に気が張る。

 「セリフが多くて、坂本さんに(音楽を)お願いしたのにもったいないんじゃないかと思ったんです。でも坂本さんは実際に画面を見ながら、私たちのセリフの間を縫うようにピアノを弾いてくださった。登場人物に寄り添ってくださっている音楽です」

 山田作品には5度目の参加となったが、監督の執念を一番感じたと強調する。「一つとして気楽なカットがなく、すべてが大切なカット。監督が根を詰めて演出してらっしゃるのが伝わってきました。たぶん井上さんと対話しながらね」

 戦後70年。かけがえのない作品との出合いに吉永の充足感は大きい。

 ◆吉永 小百合(よしなが・さゆり)1945年(昭20)3月13日、東京生まれ。ラジオドラマ「赤胴鈴之助」でデビューし、59年「朝を呼ぶ口笛」で映画初出演。62年「キューポラのある街」でブルーリボン賞主演女優賞。「おはん」「母べえ」「おとうと」など代表作多数。前作「ふしぎな岬の物語」では初めてプロデューサー業も。

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