【調査ファイル(11)神戸・舩見将太】起業家を志す文武両道球児 阪神・近本タイプの投打二刀流左腕

[ 2024年6月18日 09:00 ]

ブルペンで投球する神戸・舩見将太(撮影・平嶋 理子)
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 アマチュア野球の有力選手をリサーチする企画「スポニチ調査ファイル」第11回は、神戸(兵庫)の舩見将太(3年)。県内屈指の公立進学校で主将、エース、中軸打者を担う最速140キロ左腕は、1メートル70、65キロと小柄ながら、小学生時代にバファローズジュニアに選ばれ、中学では県大会優勝と豊富な実績と経験を持つ。高校卒業後は東京六大学リーグでのプレーを希望し、将来は起業家を志す文武両道球児に迫る。 神戸・舩見将太の動画はこちらから

 「神戸高校にいい左投手がいる」――。某球団スカウトから聞いて足を運んだ。今春も東大、京大、阪大、神戸大など国公立大に現役合格者約150人を出した県内屈指の進学校。男女サッカー部、ラグビー部、陸上部などと共用するグラウンドの一角で、お目当ての選手は体を動かしていた。それが舩見だ。

 1メートル70、65キロ。ユニホームを着ると、その数値よりも少し大きく見える。体をフルに使い、柔軟でしなやかなフォームから切れ味鋭いボールを投じる。直球は最速140キロ。変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップを操り、中でも「球速差とか落差を有効に使えるのでチェンジアップが変化球の中では得意です」とうなずく。主将、エース、そして打線の中軸も担うチームの大黒柱だ。

 大柄な選手との体格差は、出力で埋める。「体をいかに上手に使って、いかに体の全部の力を出せるかというのを考えて」瞬発系のトレーニングを多く取り入れることで、常に自身の最大出力を導き出すことを心がける。体のバネには自信があり、垂直跳びはチームトップ。ベンチプレスも自重より20キロ重い85キロを持ち上げる。打撃センスも持ち合わせ、長田の野球部長時代に橋本達弥(慶大―DeNA)を指導した西岡大輔監督に「将来的には野手としても面白いと思います」と言わしめる。プロで似たタイプを求めるなら阪神・近本に近いと言える。

 強豪相手に実力を証明した。3月、今春選抜で準優勝した報徳学園との練習試合では、レギュラーが並んだ打線相手に9回3失点。2―3でサヨナラ負けしたものの、互角にわたり合った。全国レベルのチームにも身上の打たせて取る投球が通用し、「こういう投げ方でも抑えられるんだというのは一つ学びました」と手応えをつかんだ。37年ぶりの春季県大会進出の原動力にもなり、5失点完投で敗れた初戦の明石商戦でも、最終的に1点差の接戦へと持ち込む修正力を発揮した。

 実績も申し分ない。小学6年時にはバファローズジュニア選出。チームメートには、いずれも今春選抜に出場した大阪桐蔭・内山彰吾、京都国際・三谷誠弥、日本航空石川・段日向樹らがいた。世代トップクラスの選手であることは間違いなかった。鷹匠中軟式野球部ではエースとして県大会優勝を果たし、3年時には県内外の強豪私学からも声がかかった。だが、大きく分けて2つの理由から神戸への進学を選んだ。

 1つ目は中学時代に自信が揺らいだこと。小学生の頃は「将来的には高校は私立の強いところに身を置いて取り組みたい」と考えていた。だが中学に入って体格面など自らを俯瞰した結果、「いろいろな選手とかも見て自分は強豪私学と言われているところに入ってやっていくのは厳しいのではないか」という考えが芽生えた。そして2つ目は野球への自信が揺らいだタイミングで、勉強の成績が伸び始めたこと。そこで「公立で勉強もして野球も両立したい」と自宅から近く、兄も通っていた神戸へ進んだ。

 「文武両道」――。その4文字を言葉にするのはたやすいが、実践は言うまでもなく困難だ。平日は毎日約3時間の練習後、塾に通って約2時間半、机にも向かう。「高1の時は慣れなくて、しんどいというのがありましたけど、今はそこまで苦にならないです」。野球と勉強の割合は6対4。卒業後は東京六大学リーグでのプレー継続を見据えている。そんな舩見の夢は…なんと起業家だ。

 「野球をやっている以上は(プロを)目指していきたいですが、現実的に自分が活躍しているビジョンが思い浮かばない。僕自身は(将来的に)起業家になって会社を立ち上げて…というのがいいなと考えています。なんなら、球団とか持つのもいいなと」

 現時点では「ビジョンが浮かばない」と謙そん気味に話すが、将来的にはイメージできるようになるかもしれない。文武いずれにも計り知れない可能性を秘める逸材。「現状に満足せず、より高いレベルを目指してやりたい」。豊富な選択肢の中から最適解を探り出し、その目標に向かってまい進する。(惟任 貴信)

 ◇舩見 将太(ふなみ・しょうた)2006年(平18)5月5日、兵庫県神戸市出身の18歳。小学2年から高羽少年野球部で野球を始め投手。6年時にバファローズジュニア選出。鷹匠中では軟式野球部に所属し、エースとして3年時に県大会優勝。神戸では1年夏から背番号16で外野のレギュラー。同秋に背番号1、2年春夏は背番号9、同秋から再び背番号1。50メートル走6秒4、遠投90メートル。最速140キロ。1メートル70、65キロ。左投げ左打ち。

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