打率トップの明大・飯森の原点は1年秋、高校生相手に必死に食らいついたオープン戦

[ 2023年5月22日 10:45 ]

明大・飯森
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 100人を超える明大野球部の中で、身長では下から2番目の1メートル63。こんな小柄な飯森太慈外野手(3年=佼成学園)が春季リーグ戦で打率・426(47打数20安打)をマークしてトップに立った。

 戦後初のリーグ3連覇の立役者の一人と言っていい。甲子園などで活躍しスポーツ特別入試で合格した選手が並ぶ中、指定校推薦で入学。当初は「通用しないだろう」と入部をためらった男が、コツコツと努力を重ねてつかんだ結果だ。「明治には高校の先輩がいて、ボクにとってその先輩はすごい選手。その人がベンチに入れないレベル。初めは無理だろうなと思った」という。同期には広陵の宗山塁、大阪桐蔭の加藤巧也、花巻東の水谷公省、東海大菅生の杉崎成、作新学院の横山陽樹らプロからも注目された選手が入部した。小柄の外野手ということもあり目立たなかった飯森がコーチの目に留まったのがなんと高校生相手のオープン戦だった。
 

 1年秋に静岡で開催されたフレッシュオータムリーグ。地元の聖隷クリストファーとの試合で9番左翼手として出場。高校生の投手に必死に食らいつき、3安打をマーク。その姿勢に「飯森」の名前が刻まれた。ひと冬越えた昨年春、福王昭仁コーチが「アイツ(飯森)面白いですよ。足もあるし、飲み込みが早い。レギュラー獲るかも」と可能性を口にした。2年春は主に代走で起用され、昨年秋にレギュラーを獲得。50メートル5秒8の足を生かしてリーグ最多の9盗塁。打率は・225と低かったが、2番打者として連覇に貢献した。


 そして今季は打率・426のトップ。最終戦となった立大2回戦の試合前に打率・405ですでに首位に立っていた。打てなければ陥落する大きな試合なのに「出ない選択肢なんて明治にはありません。出て絶対打ちます」と宣言して試合に臨んだ。1、2打席と凡退。打率を大きく下げ絶望感に襲われたが、そこから適時三塁打を含む3安打を放って堂々の打率を残した。

 「今まで足を生かそうと当てる感じのバッティングになっていました。今季は三振(13個)は多くなったけど、振っていこうと思って打席に立ったのがよかった」今季、12試合で無安打は1試合のみ。終盤の早大、立大の4試合で16打数10安打をマークして一気にトップに躍り出た。

 足の速さから付いたニックネームは“飛脚”。田中武宏監督は笑顔で「調子悪くなったら、いつでも飛脚(代走)に戻すぞ」とハッパをかける。入部をためらい、高校生相手に必死に食らいついた1年秋。小柄でも“やればできる”を体現した今季。今週末に行われる早慶戦で早大、尾瀬(・395)熊田(・382)、慶大・栗林泰(・366)らの結果を待つ。
 

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