日本ハム二刀流ルーキーの矢沢 天国の父に捧げたプロ1号!待望44打席目、2階席へ

[ 2023年5月1日 06:00 ]

パ・リーグ   日本ハム5ー1ソフトバンク ( 2023年4月30日    エスコンF )

<日・ソ>5回、プロ初本塁打を放つ矢沢(撮影・高橋 茂夫)
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 亡き父へ捧(ささ)げる特大アーチをかけた。日本ハムのドラフト1位・矢沢宏太投手(22)が30日、ソフトバンク戦で待望のプロ初本塁打を放った。投打二刀流ルーキーは「8番・右翼」で先発し、2―1の5回先頭で右翼2階席へソロ。18年に急逝した父・明夫さん(享年59)へ成長を見せる記念すべき一発で、チームの新本拠地エスコンフィールド北海道での初の連勝に貢献した。

 千葉・鎌ケ谷の2軍施設への入寮を控えた今年1月。矢沢は初めて東京都町田市にある父・明夫さんの墓前を訪れ、手を合わせて胸の中でこう誓った。「お父さん、プロに行けました。でも、ここからです。見守っていてください」。父が見守る空へ、特大のアーチを描いたのは2―1で迎えた5回先頭だ。

 「しっかり振ることが僕の持ち味。良い打席だったと思います」

 カウント2―2から、藤井の150キロ内角高め直球を強振。奇麗な放物線が右翼2階席へ飛び込んだ。出場15試合、44打席目での待望のプロ初本塁打に「もう少し早く打ちたかったですね。(同期の)奈良間に先を越されたので」とちゃめっ気たっぷりに笑った。

 藤嶺藤沢(神奈川)時代の18年に指名漏れ。家族で「日体大でドラフト1位になろう」と誓った49日後、明夫さんが亡くなった。心臓発作だった。日体大の入寮後に納骨が控えていたが、母・香さん(46)に「パパはもういいよ。宏太が頑張っている姿の方がうれしいと思うから」と背中を押され、納骨には参加せず白球を追った。

 お墓参りは、プロ入りの報告をする時――。そう胸に誓い野球だけに打ち込み、日体大での4年間で投打二刀流として成長。ドラフト1位でプロ入りという夢をかなえ、今年1月に初めて父の墓前で報告することができた。キャンプからアピールを続け、父に成長を見せる一発となった。

 記念球は支えてくれた「家族にあげたいと思います」と語った矢沢の次の目標は、投手としての1軍デビューだ。「野手の結果だけで満足せず、投手の方でも1軍で活躍できるレベルまで行きたい」。球界屈指の二刀流として活躍することが、亡き父に対する最高の親孝行になるはずだ。(清藤 駿太)

 ≪自宅でテレビ観戦の母・香さん「超うれしいです」≫矢沢の母・香さんもプロ初本塁打を喜んだ。この日は都内の自宅でテレビ観戦。矢沢の初安打や初盗塁など、節目の記録をノートにまとめていた最中に一発が飛び出したといい「初ホームランはいつになるかな、と思っていたので。超うれしいです。一人で大騒ぎしちゃいました」と声を弾ませた。18年に急逝した父・明夫さんの墓前にも「明日の朝に報告に行きます」と話した。

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2023年5月1日のニュース