中日・後藤駿太「必要としてくれるところで戦いたい」 オリックス時代の悔しさバネに勝負のシーズンへ

[ 2023年2月24日 08:00 ]

中日の後藤駿太
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 勝負の13年目へ、闘志を燃やしている。昨季途中にオリックスから中日へ移籍した後藤駿太外野手(29)だ。

 「必死にやりますよ、僕。本当に悔しい思いをしたんです。21年の日本シリーズ、僕はベンチに入ることができなかった。あれは本当に悔しかった。僕を必要としてくれているところで、チームの戦力として戦いたい」

 絞り出すように振り返ったのは、オリックス時代の21年ヤクルトとの日本シリーズのこと。登録メンバーには入っていたが、ベンチには入れなかった。当時オリックス担当記者として、その姿を見てきた。左翼は吉田正、右翼はラオウこと杉本が不動で、中堅を争った福田は出塁率が高く、攻撃の起点となる存在だった。得点力不足が深刻だったチーム事情もあって、出場機会は回って来なかった。

 “守備だけで、お金を稼げる”。後藤駿太を知る球界関係者に尋ねれば、多くがこう答える。強肩と広い守備範囲を武器に10年ドラフト1位で前橋商からオリックスに入団。当時の岡田監督(阪神)から評価され開幕スタメンを勝ち取った。NPBの高卒新人外野手の開幕スタメンは、1959年の張本勲以来52年ぶりだった。

 人懐っこい笑顔に気遣いもできる人柄で、誰からも慕われる。今は取り壊されてなくなってしまったが、神戸市にあったオリックスの選手寮「青濤館」に隣接する室内練習場で、懸命にバットを振る姿を見ていた時のこと。練習終わりに、室内練習場の2階にあった記者室に、わざわざ足を運んでくれて、1時間近く、自身が取り組んでいる打撃練習のことなど話してくれたこともあった。何度もレギュラーをつかみかけながら、その都度、課題の打撃がポイントとなった。周囲から、そう言われることも知りながら、「打てさえすればなあ…」と本音を漏らしたこともあった。自分自身が誰よりも歯がゆい思いだった。

 中日で初めて迎えた春季キャンプは、自己調整を任されている大島らとともに2軍読谷でスタート。今月22日の楽天との練習試合で1軍合流し、いきなり中越え二塁打を放つなど、調整は順調だ。

 「中日は投手陣が本当にいいですし、土田龍空とか、外野の若手もですけど、才能がある若手がたくさんいる。自分も、もっともっと頑張らないといけない」。古巣を見返すほどの勇姿を見せてほしい。3月5日で30歳になる後藤が、勝負のシーズンに挑む。(記者コラム・湯澤 涼)

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2023年2月24日のニュース