辻氏電撃訪問に感激!広島・秋山「獲りたい」恩師に並ぶ35歳首位打者…達成なら日本人最年長

[ 2023年1月13日 05:30 ]

下田の海をバックに笑顔の辻氏(左)と秋山(撮影・篠原 岳夫)
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 昨季限りで西武監督を勇退した辻発彦氏(64)が12日、静岡県下田市の吉佐美運動公園で自主トレしている愛弟子の広島・秋山翔吾外野手(34)を電撃訪問。約20分間、内野ノックを打って激励し、復活に期待を寄せた。秋山は、自身と同じ35歳シーズンの93年に日本選手最高齢タイとなる首位打者を獲得した恩師に大きな刺激を受け、並ぶ最高齢記録でのタイトル獲得を見据えた。

 少年のように懸命に白球を追う愛弟子の姿を辻氏は頼もしそうに見つめた。復活を期す秋山を、辻氏が自身たっての希望で激励。定位置が外野のため、これまで直接ノックを受けたことはなかったが、左右に振られながらも「辻さんが“もう一丁”と言ってくれて盛り上がった。わざわざ来てくださってありがたいです」と感謝の言葉を口にした。

 17~19年の3年間、西武で共闘。辻氏は昨季限りで監督を勇退し、メジャー帰りの秋山は昨季途中に広島へ加入したが、固い絆は不変だった。辻氏が「自分が打てばいいという感じではない。そういった意味で自分と似たようなタイプ」と評すと「辻さんとは野球観が合う」と秋山も呼応。野球人として共鳴する2人が4年ぶりに向き合い、グラウンドは活気に包まれた。

 昨年6月の広島加入後は2度の離脱もあり、わずか44試合の出場に終わった。それでもこの日の動きを見た辻氏は「先頭に立って若手を引っ張っていた。アキは気持ちが強くて負けず嫌い。今年は気持ちが全然違う」と復活に太鼓判。「自分で衰えを感じてしまったら先が見えてくるぞ」という恩師の言葉に、「こうして実体験を聞けるのはありがたい」と何度もうなずいた。

 4月に35歳を迎える秋山にとって、生きる教材だ。同じ35歳シーズンの93年に辻氏は打率・319で自身初の打撃タイトルとなる首位打者&最高出塁率(・395)の2冠を獲得。35歳シーズンでの首位打者獲得は、川上哲治や長嶋茂雄らに並ぶ日本選手最高齢記録だ。秋山は「前例があれば、できる可能性がある。1年間しっかり試合に出て、狙っていける位置にいたら獲れるものは獲りたい」とタイトル奪取を視野に入れた。「フルシーズン出ることによって、結果を出してくれるでしょう」と辻氏。アキならできる│―。その言葉を胸に、希代の安打製造機が恩返しの一打を積み重ねる。(花里 雄太)

 ▽辻の35歳シーズン 西武でプロ10年目を迎え、腰痛のため出遅れた。開幕から15試合目のダイエー戦に「9番・二塁」で初めてスタメンに名を連ねると、5月からは定位置の1番へ。8月には打率.378、1本塁打、8打点をマークし、月間MVPを受賞。自身初の打撃タイトルとなる首位打者(.319)、最高出塁率(.395)の2冠を獲得し、リーグ4連覇に貢献した。

 ≪外国人選手3人が36歳でタイトル≫日本選手最高齢となる35歳シーズンで首位打者を獲得したのは5人。外国人選手では36歳シーズンでの首位打者が3人おり、79年ミヤーン(大洋、.346)、89年クロマティ(巨人、.378)、08年リック(楽天、.332)が最高齢となる。

 ≪1番・中堅で絶大な信頼≫辻氏が西武監督に就任した17年から3年間ともに戦った。辻氏はレギュラーシーズン計429試合のうち、353試合で秋山を「1番・中堅」で起用。「周囲に対して厳しいことも言える」と19年には主将を任せるなど、絶大な信頼を置いた。秋山は3年連続で最多安打のタイトルを獲得するなど、強力打線をけん引。17年には打率.322で首位打者に輝き、18、19年にはリードオフマンとしてパ・リーグ連覇に貢献した。

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2023年1月13日のニュース