野球殿堂入りのランディ・バース氏 苦渋の決断を迫られた現役最終章 全盛期のままユニホームを脱ぐ 

[ 2023年1月13日 15:05 ]

<1985年10月26日 日本シリーズ第1戦 西武ー阪神戦>8回に均衡を破る3ランを放った阪神・バース
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 1985年の阪神の日本一に貢献し、2度の3冠王に輝いたランディ・バース氏(68)が13日、エキスパート表彰で野球殿堂入りすることが決まった。1983年のシーズン途中に来日。3年目となる85年から主砲として輝かしい成績を収めたものの、最後は思わぬ形で阪神を退団、現役引退することになった。

 1988年シーズンは、来日6年目のシーズン。開幕から「4番・一塁」としてチームをけん引していたバースの名前がスタメンから消えたのが5月6日のヤクルト戦(甲子園)だった。長男・ザクリー君(当時9歳)がCTスキャン検査の結果、「水頭症」の疑いがあると判明。キャンプ中にも体調を崩し、バースは米国に一時帰国していた。

 野球を取るか、家族を取るか。苦渋の決断を迫られたバースは、家族とともに5月14日に帰国便に乗り込んだ。「息子の状態さえ良くなれば、日本に帰ってきてプレーするつもりだ」と約束するも、球団側との話し合いは暗礁に乗り上げ、6月27日に阪神球団がバースとの契約を解除したことを発表した。「神様」とまで形容された史上最強助っ人は退団のセレモニーすらなく、縦ジマのユニホームを脱ぐことになった。

 ちなみに退団前年となる87年の成績は打率・320、37本塁打、79打点。目立ったケガはなく、体力的にも十分やれる34歳だけに、他球団で現役を続行する道もあった。しかし、バースはこの年限りで現役を引退。全盛期のまま、バットを置いた。

 ザクリー君はその後回復し、元気に米国で暮らしている。

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