バースはいかにして阪神の「神様、バース様」となったのか

[ 2023年1月13日 15:00 ]

1985年、阪神時代のバース
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 野球殿堂入りした元阪神ランディ・バース氏(68)について、岡田彰布監督、掛布雅之氏らかつてのチームメートは「クレバーな選手だった」と口を揃える。最先端の機器でデータを分析する現代とは全く環境が異なる85年でもバースの頭には傾向と対策しっかりとインプットされていた。

 83年からの阪神でのプレーでセ・リーグ主力投手の持ち球、配球の傾向、そして球種によって生じるフォームの変化をバースの目と頭はとらえていた。85、86年の連続3冠王は2年間の蓄積があってのものだった。担当通訳だった本多達也氏(65)は「試合中は真剣そのもの。ベンチ裏で休憩することもなく、最前列で相手投手をずっと観察していた」と振り返る。遠目が効くため、手首の微妙な角度の違い、筋の動きで球種を見抜いていたと言われる。「相手の癖を教えてくれ」というチームメートにヒントを与えても、並の目では違いが分からなかったという。

 その頭脳を証明するのが将棋の腕前だ。阪神のロッカーで流行していた将棋を岡田や川藤幸三氏(現阪神OB会長)が興じる姿を見ながら、漢字もわからず、ルールも知らず、将棋ゲームもない時代に頭で理解。「いつの間にかうまなっとった」と岡田も認める上達を示した。

 さらに、日本のプロ野球へのリスペクトを常に持っていたこともバースのプレーの特長だ。相手バッテリーや審判を威圧したり、軽んじた扱いをすることがなかった。記録がかかった試合で江川卓が真っ向勝負したように、バースの勝負に対する姿勢はライバルたちにも伝わっていた。

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2023年1月13日のニュース