【スポニチスカウト部(31)】BC信濃・鈴木駿輔投手 最速152キロ右腕 制球身につけ3冠

[ 2022年9月20日 06:30 ]

北地区の投手3冠に輝きNPB入りを目指す信濃・鈴木(撮影・木村揚輔)  
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第31回はルートインBCリーグ・信濃の最速152キロ右腕・鈴木駿輔投手(24)。11勝、防御率1・76、94奪三振で北地区の投手3冠に輝いたリーグNo・1投手が、念願のNPB入りを狙う。

 運命のドラフト会議まで1カ月。リーグ戦で結果を残してきた鈴木がまた一歩、NPB入りに近づいた。

 BCリーグの選抜チームの一員として13日、ジャイアンツ球場で巨人3軍との交流戦に臨んだ。鈴木は3回から登板し、1イニングを1安打無失点で1奪三振。直球は3度も150キロを計測し「外角に強い球を投げることを実行できて良かった」と大きく胸を張った。

 5球団16人のスカウトが集結したビッグチャンス。独立リーグの投手としてトップクラスの完成度をアピールした。ツーシームは130キロ台後半で沈み、140キロ台前半のカットボールは、直球と見分けがつかないほど打者寄りで変化。視察したDeNA・河原隆一スカウティングディレクターは「リーグNo・1の投手で力があるのは分かっている。セットアッパーで、という感じですね」と評した。

 順風満帆な野球人生ではなかった。聖光学院(福島)では投打の中心選手として3年夏に甲子園出場を果たすも、進学した青学大を2年で中退。「いろいろな誘惑があって野球に集中できていなかった。どうしてもプロに行きたい気持ちがあった」と独立リーグに活躍の場を求めた。

 信濃でBCリーグ4年目を迎えた今季。昨年までオリックスでプレーした同じ右腕の荒西祐大が、選手兼任コーチとしてチームに加わった。制球力に課題を抱えていた鈴木は「9分割のどこかで空振り、見逃し、ファウルが取れれば全部ストライク。それでカウントを取れば楽になる」とアドバイスを受けた。「アバウトに強い球を投げることを意識すると、凄く楽に試合を運ぶことができるようになった」と課題を克服し、秘めていた才能は花開いた。

 レギュラーシーズンは終了し、アピールできる機会は残りわずか。夢追う24歳は「チームの大黒柱、息の長い選手になりたいです」とNPB入り後の青写真を描く。10月20日のドラフト会議は通過点に過ぎない。(柳内 遼平)

 《オフは寿司店でバイト》鈴木はオフシーズン、東京都練馬区にある実家近くの寿司店で、宅配のバイトに励んでいる。寒風の中をバイクにまたがり、何度も何度も商品を届けた。同じ「プロ」という枠組みながら、NPBとは異なり、独立リーグは1年間野球だけに集中できる環境ではない。「本当にハングリーさじゃないですけど、目標を絶対にかなえるんだとストイックになれる。BC選抜には自分よりストイックな選手もいた。そういう選手と会話するのも楽しかった」と下を向くことはない。独立リーグで人間としても選手としてもたくましくなった。

 ☆球歴 中村小1年から中村ウィンズで野球を始める。中村中では麻生ジャイアンツボーイズに所属。聖光学院では3年夏に甲子園出場。青学大を中退し、BCリーグでは福島、信濃でプレー。
 ☆球種 直球、スライダー、カットボール、ツーシーム。
 ☆身体能力 50メートル走6秒0。遠投125メートル。
 ☆憧れの選手 元中日・山井大介。BC・福島時代に自主トレを一緒に行い「野球への姿勢は人生において凄く勉強になりました」
 ☆母校 聖光学院が今夏の甲子園で初の4強進出。大会後に斎藤智也監督に電話すると恩師から「今年はいい(成績)じゃないか」と激励された。
 

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