西武・内海「やりきった」涙でマウンドに別れ 40歳19年間のプロ生活、引退登板は5球オール直球勝負

[ 2022年9月20日 05:30 ]

パ・リーグ   西武4-6楽天 ( 2022年9月19日    ベルーナD )

<西・楽>引退セレモニーで子どもたちから花束を受け取る内海(撮影・尾崎 有希)
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 涙が似合う。プロ19年間で人目をはばからず幾多の悔し涙、うれし涙を流してきた。楽天戦後の引退セレモニーで西武・内海は4人の子供から花束を渡され、目を押さえた。選手全員と握手し、胴上げで3度宙を舞った。

 試合前の引退会見で「やりきった」と語って思いがあふれた。「自分が決めるまで…」と言葉を詰まらせて目を真っ赤に。「現役をやらせていただいたので、本当に感謝しかないです」と絞り出した。

 敦賀気比に入学時は腕立て伏せが30回もできなかった。ランニングで最後尾だったガリガリの少年が、巨人で11、12年に最多勝。エースに成り上がり通算135勝を挙げた。2勝だった西武の4年間も、日が昇らないうちから球場に来た。泥くさい努力をやめなかった。だから「練習はうそをつきません」と後輩たちへ言葉を贈った。

 先発した引退登板での5球は全て直球。「150キロの真っすぐを投げるわけでもない。(ソフトバンク)千賀投手のようなフォークがあるわけでもない」。抜群の制球力で凡打の山を築いた40歳は、山崎に最後は139キロの外角球。引っかけて二ゴロにさせる投球術で打ち取り、拍手を浴びてベンチに戻った。

 かつて帽子のつばの裏には「家族」と記した。セレモニーのあいさつでは母、妻に感謝を口にし、子供には「これからはあなたたちの番。夢に向かって頑張ってください」と語りかけた。ともに戦った巨人・堀内元監督、高橋前監督、原監督、西武・辻監督にも感謝を述べた。

 「普通のピッチャーだったけど本格派左腕と自分に言い聞かせて練習をしてきた」。涙と直球。最後のマウンドに、内海の野球人生が凝縮されていた。(神田 佑)

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