中日・上田洸太朗 20歳の左腕がプロ7度目の先発で初勝利をゲット 恩師・大藤監督も驚いた意識の高さ

[ 2022年9月20日 08:00 ]

中日・上田
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 待ちに待った瞬間だった。高卒2年目の上田洸太朗投手(20)が9月8日の広島戦(バンテリンドーム)で6回2安打無失点の快投を披露し、プロ7度目の先発で初勝利を挙げた。

 20年育成ドラフト2位で入団し、今年5月9日に支配下に昇格。デビュー戦となった同12日のヤクルト戦(神宮)では5回4安打3失点で黒星を喫した。その後も好投しながら援護に恵まれない試合が続いた。
 8月21日のヤクルト戦(バンテリンドーム)では5回3安打無失点で勝利投手の権利を得て降板したが、終盤に追いつかれ、手にしかけた白星がこぼれ落ちた。デビューから約4カ月、苦労してつかんだ1勝だった。

 試合後に守護神のR・マルティネスから記念球を贈られ、やっと表情が緩んだ。お立ち台では「チームに迷惑ばかりかけていたので勝つことができてうれしい」。インタビュールームでは「投げるより緊張しました」と20歳らしい笑顔を見せた。

 高校時代からプロのマウンドで躍動する自分の姿を思い描いていた。春夏の甲子園がコロナで中止となった世代。最後の夏、愛知・享栄高のエースだった上田は自粛期間が明け、富山の実家から、愛知の寮に戻った時に中止を告げられた。

 目標を見失い、泣き崩れる者もいた中で、上田は平然と「しょうがない。次はプロを目指して頑張るだけです」と言い切ったという。恩師・大藤敏行監督はその時のやりとりが忘れられない。

 「泣かれたらどうしようと思っていましたが、あっけらかんとしていた。こいつはすげえなと。自分の人生設計、どこに目標を置くのかがしっかりしていたんでしょうね」

 恩師も驚く意識の高さ。だからこそ、1勝では満足していられない。今季5勝を挙げ、ブレークした同期のドラフト1位・高橋宏斗の存在も刺激になっている。

 「負けない投手になりたい。まだまだ改善するところはある。ゼロを並べられる投手になりたい。ここからしっかりと勝ちをつけていきたい」

 どんな時も冷静沈着でポーカーフェース左腕・上田と闘志をあふれる投球が魅力の右腕・高橋宏。今年、初勝利を挙げた同期の2人が、近い将来、ローテーションの軸となれれば、中日の未来は明るい。
(中澤 智晴)

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2022年9月20日のニュース