バーランダー弟が巡ったエンゼルス・大谷ゆかりの地 “マニア”が岩手で知った広角打法のルーツ

[ 2022年8月30日 02:30 ]

東京ドーム前に集まった日本のファンと交流するベン・バーランダー氏(Flippin' Bats Podcast公式ツイッターから) 

 「大谷マニア」として日米で知られる米FOXスポーツのアナリスト、ベン・バーランダー氏(30)がこのほど来日し、1週間にわたり岩手、北海道など「大谷ゆかりの地」を巡った。滞在中は多くの大谷ファンとも交流し、感激の連続。「Monthly Shohei」8月編は、同氏が日本で印象に残った「3つの出来事」を紹介する。

 【21日 大谷が所属した岩手・水沢リトルリーグ訪問 右翼後方の川に打球を打ち込み「引っ張り禁止令」】子供たちとの交流は最高だった。最初は距離を感じたけど、徐々に打ち解けて、彼らも親しみを込めて話しかけたりしてくれるようになった。こっちがインタビューしているのに「ベンさんは、彼女がいるの?」と聞かれたのは笑った。

 翔平が投げたマウンド、打席に立ったのも、特別な瞬間だった。当時はヘッドコーチだった現在の監督(佐々木一夫氏)に、翔平が子供時代にどんな選手だったか、聞けたのも貴重な機会になった。

 翔平はよく右翼後方の川に打球を打ち込んでいたらしい。ボールがなくなり、コーチからは「引っ張り禁止令」が出るほど。それで左方向へ打つことを覚えた。ここが全ての始まりだったんだ。

 でも、何より感動したのは、最後の別れかな。最後、子供たちで一列に並んで、「ありがとうございます」と言ってくれて。いや、お礼を言いたいのは、こっちなのに。

 乗っていた車が動き出すと、窓際までみんな駆け寄ってきてくれた。窓を開けて、また子供たちにあいさつしたけど、あの瞬間、目頭が熱くなった。

 【26日 札幌Dで始球式、侍・栗山監督インタビュー&きつねダンス マウンドから投げる機会に特別感と緊張感】翔平が投げていたマウンドから投げる機会をもらえるなんて。自分にとっては、いろんな意味で特別だった。でも、本当に緊張した(笑い)。

 その日の午後、(侍ジャパン監督の)栗山(英樹)さんと話をした時、「ワンバウンドを投げたら、翔平に笑われますよ」と言われていたから、プレッシャーを感じていた。高めに外れたのは、そのせいかな。低めだと、ワンバウンドする可能性があったから。マウンドからは今まで何度も投げてきたけど、始球式は全然違う。難しいと思った。

 栗山さんへのインタビューは、同じレベルでは語れないぐらい刺激的だったから、このリストからは外すけど、始球式でコディ(・ポンセ)が捕手を務めてくれたのも、感激した。彼とはマイナー時代に対戦したことがあって、よく知っていたから。あの数日前からメールのやりとりをしていて、「札幌で会おう」と言っていたんだけど、あんな形で再会するとはね。

 その後のきつねダンスも最高の思い出。「本当にやるのか?」と聞かれたけど、あの時、今後、札幌に来ることはあるかもしれないけど、チアリーダーの女の子たちと「きつねダンス」を踊る機会なんて絶対に訪れないと思った。そんな一生に一回の機会を逃す手はなかった。実際、やってみて本当に楽しかった。

 《旧知ポンセのノーノー「まさか」》日本ハムのポンセはバーランダー氏の始球式の捕手役を務めた翌日の27日に史上87人目(通算98度目)の無安打無得点試合を達成。同氏は「まさか、始球式を受けてもらった次の日にノーヒッターを達成するとは。(帰りの)飛行機の中で思わず、大きな声を出しそうになったよ」とうれしそうに語った。

 【23日 東京ドームでのオフ会 集まってくれた多くのファンに感謝 一生忘れない】20日に東京ドームにいますよ、という告知をした。そうしたら、席の近くまでみんな会いに来てくれた。写真を撮ったり、サインをしたり。どのくらいそんな人がいたんだろう。50~60人かな。

 その後、食事に行ったら、球場の外でファンが待っているというメッセージをもらった。でももう、そのメッセージに気づいたのは、何時間も後だったから、さすがに戻っても誰もいないだろうと。そうか、試合のチケットを持っていない人は外で待ってくれていたのか、と申し訳ない気持ちになった。

 それで23日の午後、(東京ドーム内の)野球殿堂博物館の取材が終わった後で、また、そういう時間を設けたいと思って告知した。彼らに翔平の話も聞きたかったから、そのつもりだったんだけど、待ち合わせ場所に行ったら50人ほどの人がいた。せいぜい20~30人だと思っていたから、驚いた。あんなに暑い中、たくさんの人に来てもらって、多分、一生忘れないと思う。

 ◇ベン・バーランダー 1992年1月31日生まれ、米バージニア州出身の30歳。米スポーツ局FOXスポーツのアナリスト。ポッドキャスト「Flippin’ Bats」の司会。自身も大学時代に二刀流に挑戦したが、好結果を残せずに外野手としてマイナーでプレー。サイ・ヤング賞2度の右腕ジャスティン・バーランダー(アストロズ)の実弟。

 《1週間で4球場訪問》メジャー現役最多242勝を誇るジャスティン・バーランダーの弟でもある同氏は滞在中、FOXスポーツの公式YouTubeチャンネル「Flippin’ Bats」で連日リポートを行った。来日の主な目的は大谷が育った環境を知ることと、日本文化に触れること。19日に来日し、1週間の日程で横浜スタジアム、東京ドーム、札幌ドーム、神宮の4球場を訪問し、球場の特色やグルメなども紹介した。岩手では花巻東の練習も視察し、北海道では栗山英樹氏の「栗の樹ファーム」も訪れた。同チャンネル内の「週刊大谷翔平ニュース」は日本語訳を日本時間の水曜日の午前に更新している。

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