金本知憲氏 理想的な打撃フォームを兼ね備えている高松商・浅野 元巨人の村田に似たタイプ

[ 2022年8月30日 05:15 ]

金本知憲氏
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 【金本知憲 虎への金言】夏の甲子園も終わり、プロ野球もシーズン終盤を迎えた。今回はプロの選手ではなく、アマチュア選手のことをテーマにしたい。今夏に開催された第104回全国高校野球選手権大会で注目を集めた打者の一人が高松商(香川)の浅野翔吾外野手。彼の打撃映像を見た印象としては通算1865安打、360本塁打を記録した元巨人の村田修一に似たタイプの打者だと感じた。

 打撃の一部を解説すると下半身主導で腰がグッと入って、後から上半身がついてくる打撃フォームは素晴らしい。変化球にも対応できる打ち方。下半身から上半身へと動きが連動し、体の捻転差も大きい。監督時代には、この打ち方を指導してきた。しかし、実際にはいくら教えてもできないプロの選手がいた中で、すでに浅野選手は理想的な打撃フォームを兼ね備えていると思う。

 50メートル走5秒9、遠投110メートル。身長1メートル71、体重86キロの右投げ両打ち。体のバネなど身体能力の部分は分からないが、この体形で足も速いということは筋力もあって、強いのだろう。当然、体格が大きければ、筋肉がつく容量も大きくなるだけに、プロでは体が大きい方が有利だとは思う。しかし、体が小さくても絶対的に不利だとは言えない。

 通算2566安打、567本塁打を記録した大打者の門田博光さんは身長1メートル70。現在ではオリックス・吉田正尚が身長1メートル73、阪神では梅野隆太郎も1メートル73で、体が大きくなくても、バットを振る力はあるだけにボールを遠くに飛ばすことはできる。

 体が小さくても、体の動きでカバーできることも十分にある。プロ野球界の中でも体が大きく、筋力もある選手でも体をうまく使えない選手はたくさんいる。仮に「10」の力があっても、「4」か「5」の力しか発揮できない選手がほとんどだ。一方で「10」の力を「7」か「8」発揮することできれば、体格差に関係なく勝てる。浅野選手は下半身主導で、体の力、腰の力を十分に使って打てているだけに、次のステージでの活躍に期待したい。(スポニチ本紙評論家)

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