松坂大輔氏 白球を追うチビっ子たちにメッセージ「負けることもまた、大きな財産」

[ 2022年8月30日 05:00 ]

全日本学童軟式野球マクドナルド・トーナメントで解説を務めた松坂氏(左)※撮影時のみマスクを外しています
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 【平成の怪物 松坂大輔の探球】昨年限りで現役を引退した松坂大輔氏(41=スポニチ本紙評論家)が今、何を見て、何を思うのか――。平成の怪物の「今」を発信する月1回の連載コラム「松坂大輔の探球~シーズン編~」の第5回。今月14日に「高円宮賜杯第42回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメント」(スポニチなど主催)の決勝を観戦した松坂氏が、自身の子供時代を振り返り、白球を追うチビっ子たちにメッセージを送った。

 夏休み。学童野球を見させていただく機会がありました。驚いたのがレベルの高さです。さすが全国大会の決勝。同時に自分が子供の頃、軟式野球をプレーしていた時のことを思い出して、重ねながら見ていました。

 自分が軟式野球のチームに入ったのは小3の秋です。ポジションは投手ではなく、メインは遊撃手でした。エースの子は別にいて交互に投げる感じで、捕手や外野手もやったり…。やっぱり子供の頃は、いろんなポジションを経験した方がいい。早い段階で固める必要はないと思います。自分は小6の冬に軟式からリトル(硬式)に入って、そこからシニアに。野球を始めた時にはもう「将来はプロ野球選手に」と考えていましたね(笑い)。

 今大会は全国で約1万1000チームが予選に参加したそうです。凄い数だなと思った一方で、近年は野球人口の減少も盛んに言われています。単純にもっと増えてほしいと思いますし、野球だけに限らずスポーツをする子供が増えてくれたらいいな、と思います。

 野球に興味を持って、始めて、続けていくにはどうしたらいいか。やっぱり「楽しむ」「好きだ」という気持ちをいつまでも持ち続けてほしい。あとは勝負事なので、必ず負けることがあります。自分自身の野球人生も、失敗や敗戦から学ぶことが本当に多かった。仲間と勝つことは財産ですが、負けることもまた、大きな財産です。子供たちには敗戦の悔しさを力に変えて、大きく成長していってほしいと思います。

 正直、野球というスポーツは道具などにお金がかかります。大変な思いで子供のサポートをしている親御さんもいるでしょう。そうやって頑張っているお父さん、お母さんを自分たちがサポートできたらいいな、と考えています。何らかの形でサポートできれば、野球をする子、野球をさせられる家族が増えるかもしれない。自分は野球に育てられてきた人間です。野球界のために何ができるのかをもっと考えていきたいと思います。

 子供たちの未来には大きな可能性が秘められています。今大会に参加していた選手の中からも将来の甲子園球児、そしてプロ野球選手が出てくるかもしれません。日本の野球界を支える選手になってくれることを楽しみにしています。

 ≪中条ブルーインパルスのエース・服部を高評価「素晴らしい投手」≫14日の決勝では中条ブルーインパルス(石川)が、前年優勝の長曽根ストロングス(大阪)に3―0で勝利。初優勝を飾った。松坂氏は、試合のネット配信でゲスト解説。完封勝利を挙げた中条ブルーインパルスのエース・服部成(6年)について「コントロールもいいし素晴らしい投手」と評し、「(両チームの)技術の高さに驚いている。頂点を決めるのにふさわしい試合」などと話した。

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2022年8月30日のニュース