ソフトバンク周東 どん底からはい上がり…打力もアップ 目が離せないスピードスター

[ 2022年6月13日 07:30 ]

ソフトバンクの周東
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 次なる切り札はこの男だ。昨秋受けた右肩手術から復帰したソフトバンク・周東佑京内野手(26)。5月25日DeNA戦で今季初めて1軍に昇格すると、ここまで15試合に出場して打率・385をマーク。武器の走塁だけでなく、バットでもアピールしている。

 まだまだシーズン半ばだが、ここまでの成績を誰が予想しただろうか。藤本監督にとってはうれしい悩みだ。スタメンでも途中出場でも使える存在。指揮官は「ジョーカー的な存在になっている。どこでも守れるから、こちらとしてはありがたい。使い勝手のある選手」。内外野こなせる守備に代走のスペシャリストまで、幅広い選択肢がチームを支えている。

 注目するのは足だけではない。目を見張るのが力強くなったスイング。5月29日の広島戦で放った1号2ランは昨年5月7日の西武戦以来となる387日ぶりのアーチ。右翼席中段まで運んだ一打に「今までの人生で一番(感触が)良かった」と言った。要因は長谷川打撃コーチと取り組んでいる右足の使い方。踏み込む際に「強く(地面に)つくイメージ」と意識を集中させる。踏み出しを強めることでバットの走りが良くなり、体重もボールに伝わるようになった。

 何よりも野球を心の底から楽しんでいるように見える。昨年は「1番・二塁」への定着を期待されたが、わずか70試合の出場で打率・201、3本塁打、5打点に終わり「考えすぎて打てなくなった」と反省する。右手指骨折に人生最大のケガとなった右肩の手術もあり「野球人生で一番、きつい1年だった」。まさにどん底からはい上がってきた。

 だからこそ1軍の舞台で打って、走って、守れることに「試合に出られているだけでうれしいこと。何番を打ちたいとか、どこを守りたいとかはない。チームの勝利に貢献したい。それだけです」。周囲の雑音は自然と消え、無我夢中でダイヤモンドを駆け抜けている。

 私生活では3日に第1子となる長男が誕生し「頑張らないといけないと、より一層思った」と自覚も芽生えた。名古屋遠征中だったため顔は写真で確認し「猿みたいでした。でもかわいいです」とパパの顔。守るべきものができたことも好調の要因になっている。

 「出場機会が増えてきているので、そこで良い結果が出せたら。控え選手がレギュラーと同じパフォーマンスを出せるように」。今やチームに必要不可欠なキーマンだ。17日からはリーグ戦が再開するが、スピードスターから目が離せない。(記者コラム・福井 亮太)

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2022年6月13日のニュース