キャンプ1軍唯一の育成選手 ソフトバンク重田は味方相手に内角をえぐれるか

[ 2022年1月27日 08:00 ]

キャッチボールをするソフトバンク・重田(撮影・岡田 丈靖)
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 囲みを見守っていた球団広報が感嘆していた。「おっ、あいつ、変わってきた」。ソフトバンク育成の重田倫明(ともあき)投手(25)が、2月1日からの宮崎春季キャンプでA組(1軍)メンバーに選ばれ、26日の調整後に対応した。支配下に混じった、唯一の育成選手としてチャンスをもらった。国士舘大を卒業後、今季で育成4年目。念願の支配下登録に向けて「アピール」という言葉は発しなかった。

 「4年目で大卒の26歳。今年ダメならばクビの思いで行く。天国か地獄か。結果で大チャンスをつかみたいです」。汗で濡れた茶髪をかき分けると、白髪が数本混ざっていた。

 昨季まで2軍監督を務めた藤本監督も期待を寄せる本格派右腕。24日の監督・コーチ会議でメンバー振り分けが決まった際に、指揮官は「ずっと2軍で先発としてゲームをつくってきたし、重田は思い切っての抜てき。いいものを見せてほしい」と思いを託した。1メートル85の長身から剛球を投じるが、口酸っぱく言われてきた課題は精神面。藤本監督も「重田はメンタルがね…」といじり続けてきた。このオフ、殻を破るために、沖縄へと飛んだ。

 ロッテ中村奨吾、小島和哉、鈴木昭汰らに混じって、こちらでも唯一の育成選手として合同練習。共通の関係者を通じて実現した1年目オフ以来の刺激だった。同学年の小島に言われた。「誰が何と言おうと自分の“肌感”を信じて打者にぶつかれよ」。他球団の選手にメンタル克服への助言をもらうとともに、自身の武器だった内角攻めを見つめ直した。「右のオーバースローはゴロゴロいますし、速い球を投げるのもゴロゴロいます。結局、速さじゃなくてインコースにガンガンいって実戦で相手に“嫌だ”と思わせて、抑えたらいいんです」。生き抜く道を、決めた。

 右打者にはシュート。左打者には直球、カットボール、スライダーで内角を攻めるのが術(すべ)。第1クールからA組投手陣は打撃投手としての登板が控えるが味方野手でも正直、容赦はできない。「第1クールから実戦はラッキー。とにかくガツガツぶつかっていきます。第5クールくらいから対外試合がある。残って他球団相手にも、いいものを見せられたら」。覚悟を決めた男、重田。宮崎にて、打者の内をえぐる姿を見せ続けられるか。(記者コラム・井上満夫)

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