大谷は大谷を超える――花巻東の恩師・佐々木監督が感じた向上心「ルースよりも昨日の、去年の自分を」

[ 2022年1月23日 05:30 ]

第12回日本スポーツ学会大賞授賞式に出席した花巻東の佐々木洋監督
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 エンゼルスの大谷翔平投手(27)が22日、マリナーズからFAの菊池雄星投手(30)、2人の恩師である岩手・花巻東の佐々木洋監督(46)とともに第12回日本スポーツ学会大賞を受賞した。東京都世田谷区の国士舘大で行われた授賞式に出席した佐々木監督は、ビデオメッセージで登場した大谷について歴史的活躍だった昨年の「大谷超え」をテーマに、メジャー5年目の今季へ挑んでいると明かした。

 気心知れた恩師、先輩との受賞。画面越しの大谷の表情は、和らいでいた。グレーのトレーニングウエア姿でのビデオメッセージ。「高校時代の先輩でもある菊池雄星さん、佐々木監督と一緒に受賞できることをとてもうれしく思います」と喜びを表した。

 大谷と菊池は、昨夏のオールスター戦に同時選出されるなど、コロナ禍で苦しむ人々を素晴らしいプレーで魅了したことが授賞理由。佐々木監督は、その人材育成を通じて教育とスポーツ界の発展に多大な貢献をしたとされた。大谷は卒業後も折に触れて恩師と対面。母校が4強入りした昨年11月の明治神宮大会前に、トレーニングの合間を縫って食事をともにした。

 はっきりとした言葉こそなかったが、恩師は教え子の心の内が手に取るように分かった。「話している限りは何か(二刀流として比較される)ベーブ・ルースがというよりは、常に昨日の自分を、去年の自分を超えていくということにこだわっているように感じる」。昨年は打者として46本塁打、投手として9勝2敗、防御率3・18など、二刀流として歴史的活躍を見せて満票でMVPを獲得。それに慢心することなく大谷が目指すのは「大谷超え」だという。

 教え子の信念を知った上で、佐々木監督は続けた。「ベーブ・ルースの記録や、今回逃した本塁打王の記録を目指して頑張ってやっていくと思う」。昨年は2本差で本塁打王を逃し、1918年のベーブ・ルース(レッドソックス)以来となる「2桁勝利&2桁本塁打」にあと1勝、足りなかった。

 労使が決裂してロックアウトが続きキャンプ開始時期が不透明な中、大谷は16日に渡米するなどメジャー5年目への準備を着々と進めている。「本塁打を打つことに関してこだわっているように感じたし、常に進化して、日本にいる時も毎日トレーニングしていたようなので。必ずやってくれるんじゃないかと思っている」と佐々木監督。大谷はその期待を見越したように「これからも野球界、スポーツ界を一緒に盛り上げていけるように頑張りたいなと思います」とメッセージを締めた。(柳原 直之)

 ▽日本スポーツ学会大賞 2010年創設。日本スポーツ学会独自の視点による、日本スポーツ界へ貢献した個人・団体を表彰する制度。選考基準は「スポーツ界に多大な貢献をしていること」「対象となる活動が長期間にわたっており、なおかつ、その活動が後生に好影響を及ぼしていること」「授賞式当日に会場へ来場し、スピーチ等の講演ができること」の3点。過去の選手経験のある受賞者は13年の元中日監督・落合博満氏、17年のプロバスケットボールの田臥勇太らがいる。

 ▽菊池と大谷の花巻東時代 菊池は1年夏の甲子園に背番号17で初出場。1回戦の新潟明訓戦で救援登板も、負け投手となった。春夏連続甲子園出場した3年春は、同校最高成績の準優勝に導いた。大谷は2年夏と3年春にエースとして甲子園出場。3年春は1回戦の大阪桐蔭戦に「4番・投手」で先発。藤浪(現阪神)から右越えソロを放つも、2―9で敗れた。3年夏の岩手大会準決勝の一関学院戦で、当時高校生史上初の160キロをマークしたが、決勝で盛岡大付に敗れた。

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