広島・石原 弟の夢を背負いプロ初適時打!捕手としての後悔は次への反省 記念球は母に「贈りたい」

[ 2021年4月30日 05:30 ]

セ・リーグ   広島3ー5DeNA ( 2021年4月29日    マツダ )

<広・D>7回無死二、三塁、石原は右前にプロ初安打となる2点適時打を放つ (撮影・奥 調)
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 広島・石原貴規捕手(23)が29日のDeNA戦で「初尽くし」の活躍を見せた。「7番・捕手」でプロ初先発し7回にプロ初安打初打点となる2点適時打を放った。二盗にも成功しプロ初盗塁も記録した。白星にはつながらなかったが、再昇格即日の先発起用に応え、大卒2年目の近未来の正捕手候補が節目の一歩を記した。

 勝負の一日だった。開幕を1軍で迎えた石原は4打席無安打で4月16日に降格。「結果を残せば1軍に上がれると切り替えた」。2軍調整はわずか13日間。昇格即初の先発マスクで、一定の成果を残そうと必死だった。

 2打席凡退して迎えた1―5の7回は、無死二、三塁の絶好機で迎えた。「最低でも1点という場面。二塁ゴロでも…と逆方向に入っていった」。1ボールから浜口のチェンジアップが外角高めに浮いた失投を逃さない。狙い通りに逆らわず、右前へ運ぶ2点適時打。通算7打席目でのプロ初安打で初打点も記録した。

 「ホッとしたではないですけど、良かったなと思います」

 ただ、捕手としてはプロ初登板の玉村を5回5失点と初勝利に導けなかった。「配球面でも反省するところはたくさんある。次に生かしたい」。節目の一戦は喜びと後悔が入り交じっていた。

 石原にとって最大のライバルは双子の弟・弘道さんだ。少年野球から創志学園までともにプレー。互いを意識するあまり、当時は会話も少なかった。ミスをすれば片方が遠慮なく注意し、同僚からは「それで毎回雰囲気が悪くなるねんけど」と苦笑いされるほどだった。

 それでも、内心では認め合っていた。弘道さんは「あの捕手より絶対、貴規の方がうまいわ」と同僚によく話していたと言う。その弟が野球と異なる道に進むために大学の硬式野球部を退部。「弘道が頑張ってたから、俺も頑張れてたのに…」と本音を漏らしながら、弟の夢の続きも背負ってプレーした。互いの思いを知り、今では良好な関係を築く2人。「双子で良かったことは、キャッチボール相手が近くにいることぐらい」と照れるが、双子ならではのライバル関係がプロ入りまでの成長を支えた。

 節目の記念球は女手一つで育ててくれた母・衣津美さんに贈る。「ひと段落ではないけど(母親に)記念として贈りたい」。層の厚い広島の捕手陣に食らいつくための一歩を刻んだ。(河合 洋介)

 ▼広島・佐々岡監督(石原について)いい打撃だったと思う。2軍でしっかりとやってきて調子がいいということでね。今日上げて結果も出てよかった。調子がいいとなれば、それ(再び玉村とのバッテリー)もまた考えられる。

 ◆石原 貴規(いしはら・ともき)1998年(平10)2月3日生まれ、兵庫県出身の23歳。小2から野球を始め、転校を機に仁川小3年から宝塚リトルで主に捕手。創志学園では2年秋からベンチ入りも甲子園出場なし。天理大では1年秋からリーグ戦に出場し4年春に首位打者、2年秋と4年春秋にベストナイン。19年ドラフト5位で広島入り。1メートル73、85キロ。右投げ右打ち。

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