「ナゴヤドーム」は阪神・チェンの庭「一番弱い時」知る古巣に3497日ぶり星で強烈恩返し

[ 2021年4月30日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神6ー2中日 ( 2021年4月29日    バンテリンD )

<中・神>かつて慣れ親しんだバンテリンドームナゴヤで日本球界復帰後初白星を挙げたチェン(撮影・大森 寛明)
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 古巣に強烈恩返しだ!今季加入した阪神のチェン・ウェイン投手(35)が29日の中日戦に先発し6回5安打1失点で移籍後初登板を勝利で飾った。11年まで本拠地だったバンテリンドームで熟練の投球術を披露。日本では実に3497日ぶりの白星で同一カード3連敗を阻止し、昨年から続いた同球場での連敗も7で止めた。頼もしい新戦力の活躍で貯金を再び10とし、2位・巨人とのゲーム差を1・5に広げた。

 10年前とは敵、味方が入れ替わっていた。虎のユニホームを着た左腕が、青い軍団の前に立ちはだかる。かつての力でねじ伏せるスタイルではなく、百戦錬磨らしい要所を締める投球で、チェンが11年10月2日阪神戦(甲子園)以来、日本での白星をつかんだ。

 「とてもうれしい。ここからが新たなスタートと思って、1試合でも1イニングでも多くチームのために投げていきたい」

 チームにとって「鬼門」とされるバンテリンドームも、中日時代の8年間で通算35試合に先発し17勝(7敗)の好成績を残した思い出の球場。7連敗中だったチームの相性の悪さもどこ吹く風だった。久々のヒーローインタビューでは、流ちょうな日本語で締めた。

 「久しぶりにナゴヤドームで投げられてうれしいです。あっ、名前は変わったかもしれませんが僕の中ではナゴヤドーム。ここで阪神ファンに応援してもらえるのは幸せ」

 03年オフに台湾の国立体育学院に在籍しながら中日入団。まだ体が弱く、07年には育成契約も経験。戦力となったのは08年からだった。当時は1学年上にエースだった吉見がおり山本昌、岩瀬ら球史に残る名左腕も在籍。先輩たちにかわいがられ、技術を学び、盗んで、今のチェンがある。メジャー挑戦決断後に開いた12年1月の退団会見では「一番弱い時のチェンからお世話になった」と感謝。あれから9年あまり。成熟した姿を、日本復帰後初めて古巣のファンに披露した。

 かつては150キロを超えた直球は140キロ前後。それでも3回までに2併殺を奪い、打たせて取る投球でリズムをつくった。4―0の6回1死三塁では京田を左犠飛に仕留め、最少失点。矢野監督は「(リード)4点は逆に難しさがある。1、2点の方がいい緊張感というか。初登板やったし、コントロールして投げてくれたのは今までの経験を出してくれた投球」と賛辞を惜しまなかった。

 ウイニングボールはコロナ下で来日できていない妻にプレゼント予定。「ファームにいた時も、奥さんの励ましがあって今がある」。高いレベルで外国人枠の競争は今後も続くが、日米通算100勝まであと4勝となったベテランの存在は頼もしい。(山添 晴治)

 《大家は5847日ブランク》チェン(神)が今季初勝利。日本球界では中日時代の11年10月2日阪神戦以来、3497日ぶり。チェンのようにメジャー移籍期間を挟んだ長期ブランクとしては、10年大家友和(横浜)の5847日ぶり、18年松坂大輔(中)の4241日ぶりがある。

 ◆チェン・ウェイン 1985年7月21日生まれ、台湾出身の35歳。台湾・高苑高から国立体育学院を経て04年に中日入団。12年にオリオールズ入りし、16年に移籍しマーリンズと合わせメジャー通算59勝。20年9月にロッテでNPB復帰し、今季から阪神でプレー。1メートル83、90キロ。左投げ右打ち。

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