ドラフト「隠し玉」 BC福井・高橋 1年で138キロが最速154キロに 191センチの大器晩成型右腕

[ 2020年10月6日 07:00 ]

フリーライター・菊池選手 厳選の隠し玉紹介

1年で球速が16キロも増したBC福井の高橋
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 今年のドラフトは、この選手にも注目――。「10・26」運命の日を待ち焦がれているのは、上位指名候補選手ばかりではない。中央球界では無名ながら、その素質と将来性でNPB入りを狙える「金の卵」が全国にはまだ多く存在する。ドラフトまで3週間。フリーライターの菊地選手(38)が全国各地を駆け回り“発掘”した「隠し玉」を紹介していく。

 【BC福井・高橋康二投手、25歳】平均138キロだった球速が、たった1年でなんと最速154キロまでになった急成長中の逸材。今年大卒4年目。来年2月に26歳になる高橋は「オールド・ドラフト候補」です。

 1メートル91の長身。福井工大時代は肘痛に苦しみ「野球をやめよう」とまで考えていたそうです。大学でリーグ戦登板0、BC滋賀に在籍も2年間は鳴かず飛ばず。そんな無名投手に運命の出会いがありました。昨年移籍したBC福井で、当時投手コーチだった元中日・福沢卓宏監督(39)の指導を受けて才能が開花しました。

 「福沢さんに“どんな投げ方してんねん”と。投げ方の基本的な部分が、逆に全部できていないと。去年教えてもらって、1つできるようになるとどんどんできるようになっていきました」。

 剛速球だけでなく、140キロ近いスピードで変化する「スラット(カットボールとスライダーの中間のような速く大きく横変化する変化球)」をマスターしたことで、パフォーマンスは大きく上がりました。

 プロで近いタイプは、ソフトバンク・岩崎でしょうか。岩崎も1メートル90の長身。ボールの爆発力がある点、20代半ばを過ぎてから本格化した点、リリースポイントが高い点も通じるものを感じます。

 高橋は滋賀県甲賀市の出身。甲賀と言えば「忍者の里」だけに、忍者と関係のある血筋だからここまで才能が忍んでいたのでは…と、本人に聞いてみましたが「両親は甲賀出身ではありません」。よく考えてみれば1メートル91の長身は忍者に向いていないですよね。

 年齢的に今年でNPBへの挑戦はラストイヤーと決めている高橋。なりふり構わず、わらにもすがる男のたくましさには、こんな時代だからこそ伝わるエネルギーがあります。

 ◆高橋 康二(たかはし・こうじ)1995年(平7)2月7日生まれ、滋賀県甲賀市出身の25歳。6歳で野球を始めて水口高―福井工大で投手としてプレー。BC滋賀に2年間在籍。昨年からBC福井へ移籍。遠投110メートル。1メートル91、87キロ。右投げ右打ち。

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