新井貴浩氏 オリックス新人・宮城の相手に敬意を払う姿勢に感銘

[ 2020年10月6日 05:30 ]

4日、楽天戦でプロ初先発のマウンドに登った宮城大弥(撮影・井垣 忠夫)
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 【新井さんが行く!】オリックスの宮城君はたいしたもんだね。高卒1年目とは思えないほど素晴らしい直球を投げていた。デビュー戦の緊張もあっただろうに堂々とした投げっぷりだった。実は昨秋ドラフト会議直後に放送されたテレビ番組で幼少期からの境遇を知って以来、ファンになり、ひそかに応援してきた。楽しみにしていた初登板。立派に投げる姿を見て、ご両親も感無量だったのでは。

 投球内容は、もちろん、マウンド上での立ち居振る舞いが印象的だった。初回のピンチで浅村を直球で空振り三振。日本を代表する打者を抑えて感情を出してもおかしくないのに胸の中にグッと押しとどめているように見えた。対戦相手にも敬意を払うことを忘れない。ご両親の教育のたまものだと思う。ますます応援したくなった。

 今のオリックスには同じ高卒入団から若くして球界屈指の投手にまでなった山本がいる。年齢も近いし、たくさんのことを学んで、吸収してエースへと育ってほしいね。

 優勝争いが激しく、CSもあるパ・リーグに対してセ・リーグは巨人が着実に優勝へと近づいている。どのチームも残り30試合前後。CS進出を巡る争いがない今季は例年以上に各チームの若い選手が見られるのでは。広島では注目していた高卒2年目の林が昇格したばかり。中日の石川昂や根尾、DeNAの森、阪神の井上もこれから上がってくるかもしれない。

 現役最終年だった18年9月。最後の神宮球場でヤクルト・村上の初打席初本塁打をベンチから見た。衝撃的だった。試合前の打撃練習から度肝を抜かれ、近い将来の4番になるだろうな…と感じた。

 若い頃、コーチから「1軍での1打席は2軍での何十打席にも匹敵する」と言われたものだ。2軍で体力や技術を磨くことは大切。ただ、1軍投手の球の切れは肌で経験しないと分からない。村上も1年目の1軍14打席が2年目以降につながっている。

 次のスター候補を探すのも、この季節ならではの楽しみ方だと思う。球場に入れる観衆の上限も増えた。ファンの皆さんも、ぜひ球場へ。今だから見られる次代の有望株がグラウンドにいる。
 個人的には宮城君の次の登板が楽しみだ。頑張れ!(スポニチ本紙評論家 新井貴浩)

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