阪神・高橋 初完投勝利 江夏以来53年ぶりの巨人戦14K「素直にめちゃくちゃうれしい」

[ 2020年10月6日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神6―1巨人 ( 2020年10月5日    甲子園 )

<神・巨>5安打1失点で完投勝利を挙げ、雄たけびを上げながらグラブを叩く高橋(撮影・北條 貴史)
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 27個目のアウトを自己最多を更新する14個目の三振で奪うと、阪神・高橋の笑顔が弾けた。

 「素直にめちゃくちゃうれしいです」

 初めて1人で守り抜いたマウンドでナインと分かち合った勝利の瞬間は格別だった。今季5度目の巨人戦。快投の裏には2つの変化があった。緩急がさえ渡った要因は割合を増やしたカーブ。坂本のリードもあり全3打席三振に仕留めた巨人の4番岡本に対してはカウント球、決め球と効果抜群だった。もう一つは“遅直球”。150キロを超える球種を「力を入れても全然良くなかったので。(力感は)6割ぐらい」と、あえて脱力して130キロ台で投じ、打者の意表を突いた。

 カーブは昨秋から習得に励んできたもので、直球の使い分けはその場の直感だった。「(カーブは)試合を組み立てるパターンに入ってきた。(130キロ台は)真っすぐを良く見せるための真っすぐ」。進化と成長を感じさせる113球で、67年江夏豊以来、伝統の一戦で14奪三振で完投勝利を収めた。

 3年目で初めて参加した今年2月の沖縄キャンプは「最初から1軍で競争するのは初めてなんで」と不安から始まった。それでも、絶やさなかったのは向上心。休日前、同郷で先輩の岩崎に勇気を出して、頼み込んだ。「野球の話がしたいんで、食事に連れて行ってください!」。イタリア料理店の個室にこもった2時間で、数々の質問をぶつけた。

 「ブルペンで何を意識してますか」と投げかけると「原点(アウトロー)頑張れ。飽きるほど投げろ」と返ってきた。さらに山本昌氏が過去のインタビュー記事で「狙ったところに3割投げられれば完投できる」と発言していたことも岩崎から聞き「それぐらいの気持ちでいきます」と学びと発見は多かった。

 「任せてもらってるので、すごい意気に感じて投げられた」。新球に費やした時間、振り絞った勇気…。全てが無駄でなかったことを証明した夜になった。(遠藤 礼)

 ○…高橋(神)がプロ初完投を無四球、自己最多の14奪三振で飾り4勝目。阪神の投手が巨人戦に14Kで完投勝利するのは、江夏豊が67年10月8日ダブルヘッダー第2試合でマークして以来、53年ぶり4人目。59年の村山実は9回まで無安打に抑えながら、5回に三宅秀史と村山自身の失策で2失点するという珍しい試合だった。

 〇…高橋は打撃でも「初」を記録した。6回2死二塁から宮国の初球フォークを中前に運び通算61打席目で初適時打&初打点。8回先頭では右前打して17年9月29日DeNA戦以来のチーム毎回安打も完成させた。「自分でも、こんなにバッティング良かったっけかなと思って。バッティングの方が褒めてあげたいですね」とお立ち台で笑みを浮かべた。

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