ソフトB逆転負けも渡辺雄が収穫 28歳苦労人、プロ初登板で3人斬り 工藤監督「次につながる」

[ 2020年9月5日 05:30 ]

パ・リーグ   ソフトバンク3―4ロッテ ( 2020年9月4日    ペイペイドーム )

<ソ・ロ>プロ初登板し1回無失点のソフトバンク・渡辺雄(撮影・岡田 丈靖)
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 28歳の苦労人は、初の1軍マウンドにも動じなかった。8月31日に育成選手から支配下に昇格したソフトバンク・渡辺雄が、2―4の8回から登板し、1回を打者3人で斬る完全投球。鷹の“天敵”ロッテ相手に文句なしのデビュー登板。「3月に(練習試合で)経験させてもらって、そのときはこれ以上ないくらい緊張した。今日は落ち着いて自分の投球ができた」と胸をなで下ろした。

 先頭の藤岡を直球で遊ゴロ。加藤は内角スライダーで三ゴロ。そして、マーティンには4球連続でスライダーを投じ、遊飛に打ち取った。わずか8球で料理し「スライダーは一番自信のあるボール。集中して投げられた」と振り返った。

 中越(新潟)では甲子園出場経験はなし。青学大では4年間、一度もリーグ戦で登板できなかった。それでもBC・新潟で野球を続け、育成ドラフトでソフトバンクに入団した。今季は2軍で無失点投球を続けてアピールし、支配下登録を勝ち取った。19日に29歳になる左腕は「一人でも多くの選手が、大好きな野球を続けるきっかけになればうれしい」と喜んだ。

 新潟県出身。大の歴史好きで「大学でも史学の勉強をしていた」という。「越後の虎」と称された上杉謙信に憧れる。川中島の戦いで武田信玄と名勝負を繰り広げた武将のごとく、マウンドでは一歩も引かなかった。来月には璃子夫人が第一子を出産予定で「子供が僕の仕事を理解できるまで投げられるように」というモチベーションも高い。

 チームは2位・ロッテに逆転負けし2・5ゲーム差に迫られたが、工藤監督は「良かったと思う。次につながる」と苦労人のデビューを称えた。「ここで投げることを目指してきた。恩返しの意味でも、チームのために投げられたら」と渡辺雄。アマチュア時代に無名だった左腕が、首位を走るチームの一員に加わった。

 ◆ソフトバンクの主な育成ドラフト出身現役選手 千賀滉大、石川柊太、二保旭、大竹耕太郎(以上投手)、牧原大成、周東佑京、釜元豪(以上野手)、甲斐拓也(捕手)

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