「母を甲子園に」2度も消えた夢…仙台育英・田中祥都、甲子園交流試合に懸けた思い

[ 2020年9月5日 08:00 ]

仙台育英・田中祥都内野手が母と二人三脚で歩んだ今夏甲子園交流試合への道のりを追う(C)TBS
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 仙台育英(宮城)の主将・田中祥都内野手(3年)が、5日放送のTBS「バース・デイ」(土曜後5・00)に出演する。新型コロナウイルスの影響で中止となった今春センバツに出場予定だった32チームによる「2020年甲子園高校野球交流試合」に臨む親子の絆を追う。

 「母を甲子園に行かせたかった」。甲子園出場は田中家の悲願だった。甲子園から車で1時間ほどの兵庫県・加古川市の田中家6人兄弟の5男として生まれた祥都は、4人の兄の影響で野球を始めた。独身時代は阪神ファンで矢野現監督に夢中だったという母・千恵香さんは「祥都(ショート)」、6男に「統修(とうしゅ)」と命名するほど野球好き。4人の兄は惜しくも甲子園には届かなかったことから、祥都に使命感が生まれたという。千恵香さんは「私が甲子園めっちゃええなあー言ったら『祥都が連れて行くで』って言ったんです」とうれしそうに振り返る。必死に野球に打ち込む祥都を、母は小学校時代から全ての試合をビデオで撮り続けてきた。

 母と子、甲子園を夢見て13年。祥都は2018年に名門校・仙台育英に入学し不動の1番バッターに成長した。そして今年1月24日、センバツ出場が決定し、ついに一家の夢をかなえた。母・千恵香さんも「夢の中にいる感じ」と喜んだが、その2カ月後、新型コロナウイルス感染拡大の影響でセンバツ中止が決定。さらに夏の甲子園も中止となり、親子の悲願は幻となった。

 未曾有の事態に祥都はキャプテンとしてチームを鼓舞し続けたが「ずっと目指してやってきた舞台が2回も無くなってしまって、ずっと引きずってました」とチームメイトに弱みを見せずに一人で悩んでいた。誰もいない深夜に、気持ちを奮い立たせるようにバットを振り続けたという。

 全国の高校球児がやりきれない思いを抱えた夏の甲子園中止発表から1カ月後、32チームによる甲子園交流試合の開催が決定した。さらに翌日には宮城県独自の県大会の代替大会開催も決まり、沈んでいた田中家に笑顔が戻った。

 そして迎えた8月15日、甲子園当日の朝。一度は諦めた甲子園の舞台に立ち、親子の長年の夢がついにかなう時がやってきた。一球一球に全てを懸ける祥都と、母・千恵香さんをカメラが追う。悲願の夢舞台で親子が見せた“絆”に密着する。

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