広島・西川V3ラン 投手スイッチも揺るがず初球打ち「割り切れた」

[ 2018年8月23日 05:30 ]

セ・リーグ   広島7―4ヤクルト ( 2018年8月22日    マツダ )

5回1死二、三塁、西川は右越えに3ランを放ち、ナインとタッチをかわす(撮影・坂田 高浩)
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 広島・西川の秘技ともいえる“初球打ち”だった。同点の5回1死二、三塁。目の前で投手が風張から秋吉に変わっても決意は揺るがなかった。「思い切っていこう」。振ると決めていた初球は真ん中に入ってきた。スライダーをとらえ、鮮やかな放物線を描いて右翼席に着弾する勝ち越しの5号3ランとなった。

 「1、2打席目は振れていなかった。準備不足で手が出なかった。アウトになってもいいやと、いい意味で割り切れた」

 西川はよく「初球を振ろうと決めていました」と口にする。プロ初の1番に座った19日のDeNA戦では「練習のときから決めていた」という初球打ちで中越えの二塁打を放つほどの積極性の持ち主。しかし、ともに得点圏に走者を置いた1、2打席目では第1ストライクを見逃して、見逃し三振と遊併殺に倒れていた。

 「チャンスで回してもらっていた。あそこは、みんながつないで打たせてもらった」

 天才とも評される打撃技術を持つからこそ、最低限の球種を絞ってあとは自然に反応する。「打席では全体を何となくボーッと見ているんですよ。“今から3秒後には結果が出ているな”とか考えている自分がいる。そこから、来たボールを自然に振りにいっています」。“無の境地”ともいえる唯一無二の打撃理論。独特な感覚の持ち主は、秋吉の初球にも「スライダーか真っすぐかな」と大まかに思い描いて、迷わずバットを出した。

 最高の結果となった初球打ちに緒方監督からも「変わりっぱなのところで大きい一打だった」と称えられた。この日の7得点中6点は、5番以降が叩きだした。打線が途切れないのは、8月の月間打率・369と主に6番以降を担う西川が絶好調なのも大きい。前夜の延長での敗戦を引きずらず、優勝マジックは26と減らした。下降気味の投手陣を助けるかのように、赤ヘル一丸でV街道の歩みは止まらない。 (河合 洋介)

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2018年8月23日のニュース