阪神・才木、踏みとどまった ラストチャンスで自己最長7回2失点

[ 2018年8月23日 08:11 ]

セ・リーグ   阪神5―2中日 ( 2018年8月22日    ナゴヤD )

6回1死、才木は大島を空振り三振に仕留める(撮影・岩崎 哲也)
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 阪神・才木は完全に追い込まれていた。先発ローテーション落ちの危機と隣り合わせで迎えたマウンドで、いきなり初回に最大の試練がやってきた。

 「何とか……。いつも点を取られてばっかりだったので」

 幸先良く2点の援護をもらった初回、2本の単打で無死一、二塁とされ、大島には自慢の直球を中前にはじき返される適時打。電光石火の3連打を食らい、戦況は一気に暗転した。なおも無死一、二塁。逆転、大量失点、さらには早期降板……と悪夢もちらつく中で19歳は目を覚ました。ビシエド、アルモンテを連続三振。高橋は四球で満塁とされたが福田を二ゴロに仕留め最少失点で切り抜けると再び、右腕に力がみなぎった。

 「勝利に貢献できていなかったんで絶対に抑える気持ちで。納得いく球が投げられた」

 初回の3連打以降は6回2死目まで無安打投球。初回3死目から15人連続アウトと完全に息を吹き返した。普段の直球で押すだけではなく、この日は左打者に対し内角にカットボールを投じる新たなスタイルも披露。成長だけでなく、進化も見せながら自己最長7回を最多127球で2失点で踏ん張った。

 前回先発した15日の広島戦では3回2/3で5四死球と乱れ4失点降板。金本監督から「ラストチャンス」と明言され結果次第では2軍降格の可能性もあった崖っぷちの一戦でで踏みとどまった。指揮官は「初回は、また始まった…と思ったんですけど。梅野が変化球を使って、そこに投げきった才木。2人をほめてあげたい」と再度の失敗を繰り返さず、立ち直ったバッテリーのたくましさを称えた。

 19日のヤクルト戦では岩田の危険球退場の影響を受け想定外の救援登板で1イニングを投げた。翌日、香田投手コーチから「張りは?」と問われると「全然大丈夫です!」と肩を回し、同コーチを「若いなぁ…」とうならせた通り、中2日の心配も杞憂(きゆう)に終わった。

 自身の連敗を3で止め、ともに松坂と投げ合い2戦2敗だった中日戦でも待望の白星を手にし「三度目の正直を信じて投げた」と笑った。7回には前回対戦で直球を2本塁打された高橋に8球連続で直球を投げ込み見逃し三振を奪った。「真っすぐで抑えたかった」。若者らしい負けん気と、意思の込められた直球――。これが才木浩人の魅力だ。(遠藤 礼)

 ≪打っても初打点≫才木はプロ通算15打席目で初打点を記録した。1点差に迫られた直後の2回1死二、三塁、フルカウントからの7球目をバットに当てた打球は相手投手の頭上を越える遊ゴロとなり三塁走者の伊藤隼をホームに迎えいれる効果的な3点目となった。「振ったら当たりました」と笑ったが、金本監督は「よくバットに当てた。いいところに転んだのもあるけど、あそこで簡単に三振しないという」執念を称賛した。

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2018年8月23日のニュース