山本浩二氏 盟友・衣笠氏訃報に悲痛「仙が逝って、今度はキヌ…」

[ 2018年4月25日 09:20 ]

“鉄人”衣笠祥雄さん死去

葬儀場を出る山本氏
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 75年の赤ヘル旋風からの初のリーグ優勝、そして広島の黄金期を衣笠氏とともに築いたのが、同学年で通算536本塁打した山本浩二氏(71)だった。衣笠氏の現役時代に5度のリーグ優勝をともに成し遂げた「ミスター赤ヘル」は盟友の訃報を受け、スポニチ本紙に悲痛な思いを語った。

 ちょっと前に仙(星野仙一氏)が逝って、今度はキヌ…。19日のDeNA―巨人戦の中継を見ていたら、声がかすれていて心配していたが、こんなに早く訃報が届くとは…。

 3、4年前から体調がよくないのは知っていた。去年3月、都内のホテルで行われたトークショーに出たとき「大丈夫か?」と聞いたら笑って「大丈夫だよ」という。それ以上は聞けなかった。会ったのは去年の11月、仙の野球殿堂入りのパーティーが最後かな。一緒に鏡抜きをした。

 同じチームの同い年のライバル。凄い刺激になった。はじめは仲がいい方じゃなかったが、その関係が変わったのは75年。オールスター第1戦(甲子園)で2人とも2打席連続ホームランを放って「赤ヘル旋風」という言葉が生まれ、その勢いに乗って初優勝を飾った。胴上げの輪が解けた後、キヌとしっかり抱き合った。優勝の喜びを共有して心が解け合い、腹を割って話せる仲になった。勝つにはどうすべきか。「おまえ今こうなっとるぞ」。ライバルには普通しない打撃技術のアドバイスもしあった。

 もっともキヌは言葉より行動で示すタイプ。骨折しても打席に入ってしっかり3球振って帰ってくる。その姿を見せられたら、少々痛くても痛いとは言えない。休めなくて大変だったが、あとから思えばありがたかった。

 張り合うことで互いに成長できた。球団創設の50年から74年までに3位が1度だけで弱小軍団とも言われたが、おかげで成績が残せたし、現役時代5度の優勝はキヌなしではありえなかった。最高のライバルであり、最高のチームメートであり、私のお手本になってくれた。キヌには感謝の言葉しかない。ありがとう。安らかに。(元広島カープ監督)

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2018年4月25日のニュース