野球取材の現場でも…セクハラ発言 もう“笑って受け流す”時代ではない

[ 2018年4月25日 10:15 ]

財務省事務次官を辞任した福田淳一氏
Photo By 共同

 財務省のセクハラ疑惑は、民放局の女性記者が声をあげたのを発端に世間に大きな議論を巻き起こしている。

 我が身を振り返った時、ふと「これに比べたら野球界はまだマシか」と思ってしまった自分を恥ずかしく思った。今、取材しているアマ球界は皆さん紳士で、嫌な思いをしたことは全くない。逆に下手に「女を出す」方が警戒されてしまうことの方が多いだろう。

 ただ、プロ野球担当だった7、8年前を振り返ると、公衆の面前でセクハラまがいのことをあいさつ代わりのように言われても笑って流していた。もちろん、そんな発言をする人はごく一部だったが、当時はそれを笑い飛ばせるようでなければ記者は務まらないと思っていた。男性記者が数が多い中、野球経験もない。選手やコーチに存在を認識してもらうきっかけになれば、「こいつはそういうことを言っても大丈夫」と思ってもらえればそれでいい、「持ちつ持たれつ」だとも思っていた。情報をつかむために、男女問わず少々の犠牲は必ず払う。しかし、時がたった今、やはり思い出すのは後味の悪さだけである。

 酒席で酔いがまわって、ついそんな話が出るのはまだセーフかもしれない。ただ、そういう発言をすることも、それを笑って受け流すことも、もう時代が許さない。そんな発言に断固とした姿勢を見せても、なお崩れない関係性を築く方法を考えなければいけないのだと強く感じる。野球の現場にも女性記者の数が明らかに増えてきた。野球を勉強し、野球談義ができるレベルまで知識を常に磨いていくことがさらに大事になってくると思う。

 今の球界にそんな下品な人はいないと信じているが、もし言われたら毅然とした態度を取り、まあいいかと流さないこと。それを改めて肝に銘じたい。(記者コラム・松井 いつき)

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2018年4月25日のニュース