糸井 今季初1番で復活!29打席ぶり快音 金本監督「気分転換というか」

[ 2017年5月26日 08:10 ]

セ・リーグ   阪神6―1巨人 ( 2017年5月25日    甲子園 )

<神・巨>初回、1番に入った糸井が29打席ぶりとなる中前打を放つ
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 阪神は25日の巨人戦(甲子園)に6―1で快勝し、連敗を2で止めた。金本知憲監督(49)は不振打開を後押しする意味合いで、今季初めて糸井嘉男外野手(35)を1番起用。その糸井が初回、自身29打席ぶりとなる中前打を放って一挙4得点の口火を切った。この日、試合が無かった2位・広島とのゲーム差を1に広げ、首位を堅持した。

 43試合目。スコアボードに、初めて「1番・糸井」がともった。金本監督の心遣いが込められた1番起用に、背番号7も結果で応えた。

 「勝って良かった。良くなるように努力しているだけなので。いろいろと(首脳陣が)考えてくれていると思う」

 実に7試合、28打席連続無安打で迎えた初回。長すぎたトンネルをようやく抜け出した。カウント1―1から、内角への直球を詰まりながらも中前へ。会心の当たりではなかったが、負の連鎖を断ち切った感触は、ひとしおだったことだろう。

 その一打が快勝劇の号砲となった。続く上本の左中間二塁打では満面の笑みで先制のホームを踏みしめた。さらにキャンベルの2ランなどで一挙4点。「1番・糸井」で始まる打線が、あっという間に試合を決めた。

 「気分転換というか、まっさらな打席で気分を新たにということで。彼もすごく前向きに1番を受けてくれた。(初回の4点は)チームのムードと言うか、ベンチのムードと言うか、やっぱり糸井がああやって出ることによって、(打線への)相乗効果のようなものがあったと思う」

 糸井の復活劇の裏に、指揮官の支えがあった。片岡打撃コーチと話し合った上で、試合前の早出練習の際に1番起用を提案。自身も現役時代の06年4月に24打席連続無安打など不振の時期を味わった経験があるからこそ、糸井の、はやる気持ちが痛いほど分かった。「さすがに28打席、ヒットが出ていないとなると、これはもう打者としてはね…。何かきっかけが欲しいもんだから」。何とかして、1番起用を復調のきっかけにしてほしかった。

 起用法だけではない。「(練習中の話は)雑談です」と多くを語らなかったが、試合前練習中には身ぶり手ぶりを交えながら、糸井に言葉を掛ける指揮官の姿もあった。生みの苦しみを乗り越えた一打に「(チーム全体に)このヒットを生かしてあげないと、というのが(表れていた)ね。上本の左中間(二塁打)とかね」とうなずいた。

 糸井は昨年末、周囲に「(阪神では)良い時は良いけど、悪くなった時に、とことんしんどくなるやろうな」と本音を漏らしていたという。今春キャンプ中にも「マスコミも良い時はワーって盛り上げてくれるけど、逆を考えると…怖いわ」と警戒感を強めていた。そして、現実のものとなった28打席連続無安打のスランプ。指揮官をはじめとしたチームの支えもあり、無事に乗り越えた。 (惟任 貴信)

 ≪昨季は1番で好成績≫糸井(神)の先発1番は、オリックス時代の昨季10月1日楽天戦に「1番DH」で出場して以来。これまでに先発1番で出場した時の通算成績は116試合で打率・286。生涯打率3割の糸井からすれば低い数字だが、昨季に限れば33試合で128打数42安打、打率・328と好成績だった。

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