早実サヨナラ弾でセンバツ当確 清宮は5三振「当たんないッス」

[ 2016年11月4日 05:30 ]

秋季高校野球東京都大会決勝 ( 2016年11月3日    神宮 )

<早実・日大三>9回1死二塁、野村のサヨナラ2ランにガッツポーズで出迎える清宮

 センバツ当確!秋季高校野球東京都大会決勝が3日、神宮で行われ、清宮幸太郎主将(2年)率いる早実は日大三に8―6で劇的な逆転サヨナラ勝ち。11年ぶり10度目の優勝を飾り、明治神宮大会(11日開幕)出場を決めた。清宮は5打席連続三振でブレーキとなったが、9回に2点差を追い付き、最後は野村大樹内野手(1年)のサヨナラ弾で決着をつけた。来春の選抜高校野球(来年3月19日から12日間・甲子園)の出場は確実。怪物スラッガーが3季ぶりに聖地に帰ってくる。

 5打席連続三振を喫しベンチに戻った直後だった。6―6の9回1死二塁、1年生4番・野村が初球を振り抜き、右翼席に弾むサヨナラ2ラン。清宮は慌てて右足のレガースを外し、ダイヤモンドを一周してきた野村を迎えた。興奮、そして込み上げるものがあった。

 「こんなに三振したのは初めて」。偶然にも三振と同じ数だけ胴上げされた。「胴上げ?初めてだったので気持ち良かった。僕が三振した後に打ってくれて、野村は男だなと」。清宮の声はかれきっていた。

 「周りが助けてくれた」と何度も繰り返した。1、2回戦で計3発。高校通算74本まで伸ばすも3回戦の都片倉戦から調子は下降線をたどった。「余裕がない。ボールが見えていない」。同戦で約1年ぶりの三振を喫すると関東第一との準々決勝では公式戦初の無安打。1年生ながら出場した昨夏のU―18W杯も打率2割台と苦しんだが、その時よりも「ひどかった」という。

 日大三の桜井は鋭いスライダーが武器の左腕。「今までやってきた投手の中でダントツ。当たんないッス」。3回の第2打席は3球三振。最後までスライダーに手を焼いた。1試合5三振は「練習試合ではありますよ」と言うが、公式戦では初めて。準々決勝以降は11打数1安打、打率・091、6三振と、主将としてバットで引っ張ることはできなかった。

 それでも、清宮が主将就任の際につくったスローガンが、チームをたくましくした。「生徒はチームの合言葉“GO!GO!GO!”をおまじないのように言っていた。苦しい中でも負けとか失敗を恐れる雰囲気はなかった」と和泉実監督。「練習からみんなが口に出せるように」との思いを込めた言葉が、結果的に大一番で生きた。9回に2点を勝ち越されながら、その裏に追い付き、そしてサヨナラ劇を演じた。

 秋季東京大会で優勝し明治神宮大会に出場するのは、斎藤佑樹(現日本ハム)を擁した05年以来11年ぶり。清宮にとっては1年夏以来、3季ぶりの甲子園出場も確実にした。「このチーム力に自分の打撃をプラスできるようにしたい」。初めてぶつかった「壁」。5三振の屈辱は怪物スラッガーを大きく成長させる。(松井 いつき)

 ▽清宮の15年夏の甲子園 1年生で「3番・一塁」を務めて1、2回戦で連続適時打。東海大甲府との3回戦、九州国際大付との準々決勝は、1年生では大会初の2試合連続本塁打(1年生で大会2本は83年PL学園・桑田以来2人目)。準決勝で仙台育英に敗れたものの、全5試合で安打を放ち打率・474(19打数9安打)、8打点の成績で4強入りに貢献。その後のU―18高校日本代表にも選出された。

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