高い飛球は送球ブレる コーチの読みと賢介の好走塁が呼んだ同点劇

[ 2016年10月28日 09:00 ]

SMBC日本シリーズ2016第5戦  ( 2016年10月27日    札幌D )

<日・広>7回1死一、三塁 岡の中犠飛で三塁走者・田中賢が生還。捕手・石原
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 アイコンタクトに近かった。1点を追う7回1死一、三塁の日本ハムの攻撃。岡の打球は中堅への浅い飛球となった。三塁走者の田中賢が「どうしますか?」と白井三塁コーチに問うと「行くぞ!」の声が。定位置よりも5メートル前の飛球。だが広島の中堅手・丸の送球が三塁方向へそれ、タッチをよけるように生還した。

 暴走と紙一重の勝負。根拠は飛球の高さだった。白井コーチは言う。「高い飛球だったし、捕ってからの送球にブレが生じる可能性がある。そして送球が低くなれば、マウンドでバウンドが変わる可能性がある」。低い打球であれば、落下地点に対して「線」で入りやすいが、高い飛球だと落下地点へ「点」での捕球となる。実際、丸は勢いをつけて前進したが、捕球時は伸び上がった状態で送球までの動作が窮屈になり、三塁ベース方向に大きく送球がそれた。

 そして田中賢の好判断。「浅いと思ったが、僕は(ロスなく)一直線に走るだけだった」と話した。捕手の石原が三塁線より後ろ(ファウルゾーン方向)に下がった瞬間に、三塁ラインよりもフェアゾーンに体をひねって本塁に滑り込んだ。

 白井コーチは「投手の出来、展開もあった」と話す。1点の重い試合が勝負へと動かした。白井コーチの予測と、田中賢の好走塁、そして試合全体の潮目の見極めが、サヨナラへとつなげる同点を生んだ。(倉橋 憲史)

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2016年10月28日のニュース