広島 絶体絶命から逆転!サヨナラ打新井「早く落ちてくれ」

[ 2016年8月8日 05:30 ]

<広・巨>お立ち台で恒例のウオーターシャワーを浴びる菊池(左)と新井

セ・リーグ 広島8―7巨人

(8月7日 マツダ)
 起死回生のルーズベルトゲームだ。首位の広島は7日、2位の巨人に逆転サヨナラ勝ちを収めた。6―7の9回2死から菊池涼介内野手(26)の左越え11号ソロで追い付き、なお2死一塁で新井貴浩内野手(39)が左翼へサヨナラ二塁打を放った。今季ワーストだった連敗を4でストップ。日本一を連覇した1980年以来36年ぶりとなるリーグ60勝一番乗りで、巨人とのゲーム差を5・5に広げた。

 祈りが届いた。新井は走りながら叫んだ。

 「早く落ちてくれ!」

 打球は左翼線に落ちた。一塁走者の丸が一気にサヨナラのホームを踏んだ。二塁ベースを回った39歳は右膝をつき、右拳を力強く突き上げた。

 「キク(菊池)の本塁打で、“今日は絶対勝つ”という気持ちになった」。新井がそう振り返ったのは1点を追う9回2死無走者。菊池が沢村の初球の直球を捉え、左翼席上段に叩き込んだ。プロ初の1試合5安打となる一打は、5連敗目前から起死回生の同点11号ソロ。「完全にいったという感じがあった。(普段は全力疾走だが)歩かせてもらった」。1、2戦目とも1点差負け。苦しい状況でも、菊池は「硬くなっているというのはない。僕はいつも通りだった」という。その冷静さが崖っ縁で生きた。

 丸が四球でつなぎ、2死一塁。4番の新井は燃えた。巨人の守護神・沢村が投じた2球目のスライダーを捉えた。お立ち台。新井は「チーム全員一丸。全員の一勝」と言い、目を潤ませた。鈴木や新人の西川から豪快に水をかけられても「それで盛り上がるなら、どうぞご自由に」。若手とベテランの垣根はない。それが広島の強さにつながり「新井さん」の存在がチームを一丸にさせる。

 今季ワーストだった連敗を4で止めた。それも両リーグ最多の今季8度目のサヨナラ勝ち。2位・巨人を再び5・5ゲーム差に突き放した緒方監督は「ゲームセットまで誰ひとり諦めていなかった。今日の勝利は非常に大きいものになる」と手応えを口にした。

 菊池は「僕の夢でもあった新井さんとのお立ち台。最高で~す!」と絶叫した。さらに「貴くん(新井)と2人で(お立ち台に)立たせていただきありがとうございました」。13歳下の菊池に「くん付け」されても笑顔の新井は「キクのおかげ。みんなの力」と繰り返した。60勝リーグ一番乗りした前回は日本一を連覇した年。91年以来25年ぶりのリーグ制覇へ、“吉兆”の再スタートだ。

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2016年8月8日のニュース