佐久長聖 2年エース小林、無念3失点も「戻ってこなきゃ…」

[ 2016年8月8日 05:30 ]

<鳴門・佐久長聖>力投する佐久長聖・小林

第98回全国高校野球選手権大会第1日・1回戦 佐久長聖2―3鳴門

(8月7日 甲子園)
 開会式直後の開幕試合に登場した佐久長聖は2―3で鳴門(徳島)に惜しくも敗れ、前回出場の14年に続く1回戦突破はならなかった。先発・小林玲雄(3年)が2回途中3失点で降板する苦しい展開となったが、救援の塩沢太規(2年)が気迫の投球で追加点を阻止。打線も5回に4番・甲田尚大(3年)、7回に3番・元山飛優(3年)の適時打で1点差まで追い上げ、持ち味の粘り強さを披露した。

 勝利の女神を振り向かせることはできなかった。4万3000人が見守った開幕試合で2―3と惜敗。長聖ナインは健闘を称える拍手の中、悔し涙で参加49校で最も早く大舞台に別れを告げた。

 序盤で主導権を奪われる厳しい展開。劣勢の中でチームに勇気を与えたのは背番号11の塩沢だった。2回1死一、三塁で救援登板すると2番・鎌田に初球を中前に打ち返され3点目を失ったものの、以降は踏ん張った。

 「余裕はなく、必死でした」と振り返ったが、非凡な投球術を披露。1球ごとに間合いを変え、最速137キロの直球と2種類のスライダーとのコンビネーションでテンポ良くアウトを重ねた。最も魅せたのが6回。1死二、三塁で3番・冨士を一ゴロ、初回先制2ランの4番・手束を遊直に仕留めた。

 甲子園に初めて足を運んだのが、まだ飯田市緑ケ丘中3年だった昨春センバツ。県岐阜商・高橋純平(現ソフトバンク)の快速球に「1球で球場の空気が変わる」と衝撃を受けた。その感激を胸に長聖の門を叩くと、この夏3年生主体のチームで、ただ一人2年生でベンチ入り。長野大会決勝の完投に続き、全国デビュー戦で105球を投げ6回2/3無失点、6奪三振と確かな足跡を残した。だが、「ホームに還してしまった。力不足。自分の甘さ。勝利に導けなかった」と、決勝点となった交代直後の失点に目を赤く腫らした。

 だから、憧れの地の砂は持ち帰らなかった。「戻ってこなきゃいけない。それが先輩たちへの恩返しになる。甲子園の経験を自分たちの代に伝えていきたい」。全国で通用する実力を証明した右腕は、一塁アルプス席で応援してくれた仲間たちと来年の春、夏と勝ちどきを上げるため、さらなる飛躍を誓った。(高地 浩志)

続きを表示

2016年8月8日のニュース