盛岡大付 3年菅原、家族の夢かなえる聖地1勝「100点満点です」

[ 2016年8月8日 05:30 ]

<九州国際大付・盛岡大付>9回1死、勝ち越しソロを放つ盛岡大付・菅原

第98回全国高校野球選手権大会第1日・1回戦 盛岡大付8―6九州国際大付

(8月7日 甲子園)
 2年ぶり9度目の出場の盛岡大付(岩手)は7日、1回戦で九州国際大付(福岡)と対戦し、8―6で勝利した。6―6の9回に菅原優輝内野手(3年)が公式戦初アーチとなる決勝の左越えソロ。両軍計26安打14得点の乱打戦を制し、甲子園出場経験のある父と兄2人が果たせなかった聖地1勝をつかんだ。これで岩手県勢は4年連続初戦突破。2回戦では創志学園(岡山)と対戦する。

 甲子園一家の三男が家族の夢をかなえた。6―6の9回1死。2番・菅原は3ボール2ストライクから131キロ直球をバスターで捉えた。自身公式戦1号となる勝ち越しの左越えソロ。会心の一発に高々と右拳を突き上げた。

 「バスターで打ってまさか入るとは思わなかった。何が何でも塁に出てつなごうと思った。100点満点です」。

 今夏の岩手大会から追い込まれると「当たる確率が高い」バスターで打つようにした。岩手大会では打率・316ながら打点は0だったが、初の夢舞台で決勝ソロを含む4安打1打点1盗塁、3得点と大暴れ。「4安打は初めてです。こっちの暑さが好き。動きやすい」と声を弾ませた。

 父・守さんは仙台育英(宮城)で捕手だった元球児。2年時の81年夏に甲子園に出場したがベンチ入りできず、チームも初戦敗退。息子たちに思いを託した。長男・甲子郎さん(34)は甲子園にちなんで名付けられた。次男・利満さん(28)とともに兄2人は盛岡大付OBで甲子園出場を果たしたが、いずれも初戦で敗れた。

 次男の甲子園を観戦して憧れた菅原は、兄のほかに高校球児の弟1人、姉1人、妹1人がいる8人大家族。菅原家にとって甲子園での勝利は悲願だった。「兄弟で自分だけ甲子園に行けなかったら恥ずかしいな」と重圧を抱えながらも、兄2人から「優勝しろよ」と激励を受け、岩手大会を制覇。この日観戦した父や長男の前で白星をつかみ「自分が何とか1勝してやるぞ、という気持ちだった。父の果たせなかった夢をかなえられてうれしい。出来過ぎです」と照れた。

 1年秋に右肩を脱臼して手術を受け、2年夏までリハビリの日々を過ごした。昨冬は長靴を履き、雪上で一日中バットを振った。毎日、400メートル走や懸垂120回をこなして基礎体力を強化。九州国際大付・藤本の140キロ超の直球を攻略するため、打撃投手にマウンドより5メートル手前から全力投球してもらった対策も実った。

 自慢の強力打線は14安打8得点。2回戦は最速154キロ右腕・高田を擁する創志学園が相手だ。盛岡大付はまだ甲子園で2勝したことはない。菅原は「自分たちの代で歴史を変えたい。集中して打ち勝つ野球をしたい」と力を込めた。(青木 貴紀)

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