【赤星憲広の視点】鳥谷は絶対に必要「お前がやらないと誰がやる?」

[ 2016年7月20日 08:00 ]

<神・巨>3回2死、鳥谷は見逃しの三振に倒れ顔をしかめる

セ・リーグ 阪神1-6巨人

(7月19日 甲子園)
 もがき苦しんでいる鳥谷ですが、チームにとって絶対に必要な選手です。結果が出ていない状況があるので「外せ」という声が出るのは仕方ありませんが、首脳陣、選手の誰もが外れてほしくないと感じているのではないでしょうか。

 現在のチームにおける鳥谷の存在というのは、特に若手選手にとってこれ以上ない最高のお手本です。練習に取り組む姿勢、試合に臨むまでの準備、これまでに残した実績…。先輩である福留も含めて、チームメートの誰もがその生き様を見ています。この日の試合後もきょう20日の試合に向けて遅くまで残り、また早くから甲子園へとやってくるのでしょう。試合で最善を尽くすためのルーティンは、何があっても崩さない。その姿を知る若手はともすれば、首脳陣よりも鳥谷の復調を願っているのかもしれません。

 おそらく、鳥谷の野球人生でこれほどまでに苦しんだことはなかったでしょう。いろんな工夫をして難局を打破しようとしているのですが、何をやってもうまくいかない。初回無死二塁でも走者を進めようとはするのですが、調子が悪いが故に捕邪飛に倒れてしまいました。

 ここから先は評論家というより、一先輩、仲間としての思いになるのですが、「お前がやらないと誰がやるんだ?」ということです。誰よりも鳥谷本人がもどかしいでしょうが、金本監督が以前から話しているように、この試練は自分自身で乗り越えるしかない。でも、この試練を乗り越えることができれば、これから先にある野球人生に多くのものをもたらしてくれると信じています。

 巨人・内海に対して11三振を奪われた打線に目を向けると、これだけ三振が多いということは、それだけ追い込まれていたと言うことです。その前に何とかできなかったのか。あるいは特に若手は追い込まれてから、打席の中で何か工夫を見せたでしょうか?

 良い打者というのは追い込まれてから、必ず工夫をしています。打席での立ち位置を変える、バットを短く持つ、ノーステップで打つ…。そういうものを、今の段階から自分の手で見つけてほしい。それがプロの世界で、継続して結果を残す秘けつなのです。(スポニチ本紙評論家)

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