【それぞれの夏】都留の小さなエース左腕、佐藤が示した大きな存在感

[ 2016年7月20日 20:45 ]

1メートル53の体を目いっぱ使い6回途中3失点と力投した都留・佐藤

第98回全国高校野球選手権山梨大会準々決勝 都留2―4帝京三

(7月20日 山日YBS)
 小さな巨人。都留・佐藤佑成投手(3年)にはそんな言葉がよく似合う。マウンド上で誰よりも大きな存在感を示し、帝京三打線に勇猛果敢に立ち向かった。2―4で惜敗し、最後の夏は8強で終えた。一塁ベンチ前に整列し相手の校歌が聴こえてきた。高校野球を“卒業”する実感がこみ上げ、涙が頬をつたった。

 身長1メートル53の左腕。今大会出場選手の中で最小兵だ。「小さくて投手に生かせることはそこまでない」。どうやったら抑えられるか必死に考えた。「とにかくコントロールを磨いた」。低めにコーナーを突くように投げ込んだ。「速くなくてもいかに速くみせるか」。最速は120キロ前半。カーブやチェンジアップとのコンビネーションで打ち取る技を身に付けた。

 右足を大きく回すように上げるダイナミックなフォーム。柏木洋和監督に「凡人でもどうやったら勝てるか」教えてもらった。東桂中時代から身長は伸びなかった。でも、毎日夜にどんぶり2杯のご飯を食べて体重は6キロ増の57キロになった。3年間の集大成のマウンドは5回1/3を7安打3失点。80球に全てを込めた。

 「都留高校野球部に入ったからこそ、ここまで自分は成長できた。感謝しています。高校野球人生に悔いはないです」

 背番号1。エースの誇りを胸に全力を尽くした。大学に進学して大好きな野球を続けたいと思っている。もちろん、ポジションは投手だ。「もう一回、コントロールを磨きます」。その向上心が投手としてさらに大きく成長する原動力になる。(青木 貴紀)
 

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