西部ガス 長足進歩も都市対抗1勝ならず、悔しさにじませる杉本監督

[ 2016年7月20日 18:18 ]

<日本通運・西部ガス>5回2死二塁、天久の中前適時安打で生還した竹松(右)を出迎える西部ガス・杉本監督

第87回都市対抗野球1回戦 西部ガス3―6日本通運

(7月20日 東京D)
 2年連続2回目の出場となった西部(さいぶ)ガスが日本通運に敗れ、都市対抗初勝利はならなかった。東洋大から日本通運に入社し、現役引退後は9年の間、監督を務めた杉本泰彦監督。相手の藪宏明監督は当時の教え子で、いわば“師弟対決”だった。

 試合は先制された西部ガスが追いつき、勝ち越すと日通が逆転、再び西部ガスが追いつくという接戦。しかし8回、救援の奥村がつかまって、力尽きた。

 4月14日、16日熊本地方を襲った大地震。野球部員も現地に入り、1人120軒をノルマにガス栓を締め、復旧すると再び現地入りしてガス栓を開けるなど1カ月はライフライン復旧のため練習はできなかった。そんな部員に「あいつらすごいですよ。尊敬に値します」と社業優先、しかも練習不足ながら都市対抗の切符をつかみ取った選手を称えた杉本監督。

 だから、あえて言う。3点リードされた8、9回の三者凡退に「あれでいいのか?スタンドの応援してくれた人にどう映ったかだよ。せっかく頑張って東京ドームに来たんだから勝たないと、仕事も頑張ってやってきたと言えないんだ」と悔しさをにじませた。

 「やっていたからわかるけど、日通は施設も環境もすばらしい。だから勝たないといけないというプレッシャーも半端じゃない。そのへんの意識かな。ウチはグラウンドもない、合宿所もない。社宅で自炊し、仕事してから練習する。だけどそれが社会人野球だとボクは思う。だから、そういうチームが勝てば、いいでしょ?こういう野球もと言えるんです」

 選手の苦労は指揮官は百も承知。力をつけてきたことも認めた。昨年は優勝した日本生命にコールド負けしたことを思えば長足の進歩。だが、それで満足していては、これから先はない。「来年、ここに来れるかわからんでしょ?」そう言って、選手の奮起を促した。そのひと言、ひと言に杉本監督の選手に対する愛情がこもっていた。

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