横浜 亡き祖父に誓った石川劇打で王手!渡辺監督「感無量」

[ 2015年7月28日 05:30 ]

<横浜・桐光学園>延長10回1死二塁、石川がサヨナラ打を放ち平田部長と力強く握手を交わす渡辺監督(右から2人目)

第97回全国高校野球選手権神奈川大会準決勝 横浜4―3桐光学園

(7月27日 横浜)
 第97回全国高校野球選手権大会(8月6日から15日間、甲子園)の地方大会は27日、16大会で23試合が行われた。神奈川大会では今夏限りで勇退する渡辺元智監督(70)率いる横浜が桐光学園を4―3のサヨナラ勝ちで下し、2年ぶりの決勝進出。石川達也投手(2年)が延長10回にサヨナラ打を放った。28日は15大会25試合が行われ、埼玉、神奈川大会など9大会で代表校が決まる。

 同点の延長10回1死二塁。横浜・石川が振り抜いた打球は、見えない力に後押しされるように右翼手の頭上を越えた。サヨナラだ。「手応えはとても良かった。じいちゃんが力をくれた」。石川は仲間と抱き合って劇的な決勝進出を喜んだ。

 4日前、祖父・才寿郎(さいじゅろう)さんを亡くした。19日に体調を崩して緊急入院し、急性腎不全で帰らぬ人となった。77歳だった。小さい頃は一緒にキャッチボールをしてくれた、優しくて大好きだったおじいちゃん。初めてのグラブも才寿郎さんに買ってもらった。

 気遣った家族から24日の横浜隼人戦後に訃報を知らされ「本当に寂しい」と涙に暮れた。しかしチームは戦いの最中。告別式は参列できなかったが直筆メッセージを添えたプレー写真とボールを棺に入れた。「5番・投手」で先発したこの日は左のポケットに遺影をしのばせた。右脇腹痛をこらえながら4回1/3を無失点。延長10回は空を見上げながら「力をくれ」とポケットを触って打席に入りサヨナラ打を放った。
 
 2―0の6回に3点を奪われ逆転されたが、7回に増田のソロで同点とし、3戦連続となる逆転勝ち。その3戦全てが1点差勝ちという勝負強さだ。今夏は屈辱のノーシードだが、甲子園で名勝負を繰り広げてきた先輩たちの底力は受け継がれている。

 今夏を最後に勇退する渡辺監督は「感無量。こんなゲームができるなんて、選手を信頼してきて良かった。石川はじいちゃんが打たせてくれたね」とうなずいた。

 頂点まであと1勝。甲子園大会で春夏計5度制覇の渡辺監督は「いい子たちに恵まれたので甲子園に連れていきたい」と気負いなく語った。70歳の名将の夏はまだまだ終わらない。(松井 いつき)

続きを表示

この記事のフォト

2015年7月28日のニュース