常総 エースは100メートル走全国7位の“初心者”

[ 2012年6月21日 06:00 ]

昨春、遊撃から投手に転向し常総学院のエースになった伊藤は3年ぶり甲子園出場へ闘志を燃やす

 第94回全国高校野球選手権大会(8月8日開幕、甲子園)茨城大会の組み合わせが20日、決まった。常総学院は昨年途中に投手に転向し打撃投手からはい上がったエース・伊藤侃嗣(かんじ)投手(3年)を中心に、09年以来3年ぶりの甲子園出場を狙う。また、千葉、山梨、福岡、大分大会でも組み合わせが決まった。

 つい1年前は打撃投手だった。その前は遊撃手で、茨城・中根台中のときは外野手だった。それが今やMAX147キロのドラフト候補。常総学院の右腕・伊藤は無限の可能性を秘めている。

 「経験豊富な投手のようなマウンドさばきはできない。それに勝てるのは気持ち。自分が甲子園に連れていくんだという気持ちでやりたい」

 1メートル86の長身から投げ下ろす直球には伸びと威力がある。昨春、木内幸男前監督に「一回やってみっぺ」と言われて投手になった。ただ、最初は打撃投手。ベンチ入りした昨夏は背番号19だった。それが夏の投げ込みで急成長。背番号も昨秋の10、今春の3から今夏は佐々木力監督からエースに指名された。

 「足は速いけど、野手としての送球に器用さがなくてね。それで投手をやらした。いい球投げるようになったよ」。昨夏限りで勇退した木内前監督はそう振り返る。中学時代は陸上100メートル走で全国7位。高い身体能力を投手で開花させたのも木内マジックだろう。84年夏、木内前監督率いる取手二の二塁手で全国制覇した佐々木監督も「1年でこれだけ伸びた投手はいない。気負わないで力を出してほしい」

 今春、負傷した中指をかばって投げているうちにツーシームを習得。その新球が夏は大きな武器になる。「常総の背番号1は重い。だからやりがいもある」。経験不足をエースの自覚で補い、3年ぶりの甲子園へ挑む。

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