受験勉強のきっかけは「神宮球場」 立大野球部・遠山夏澄主務が追う憧れの背中

[ 2024年4月13日 12:33 ]

昨秋の新チームから主務に就任した遠山マネジャー(撮影・柳内 遼平)
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 記者は前職の公務員(行政職員)時代にスポーツ文化振興を担当し、スポーツにおいて「する」「みる」「支える」のどれもが欠かせないと業務を通して学んだ。だからこそ、なかなかスポットライトの当たらない「支える」人を報じることが重要だと思っている。

 20年にアマチュア野球担当となり5年目を迎えた。取材経験から「良いチームには優れたマネジャーあり」と考えるようになった。野球部に所属しながら選手とは異なり、完封勝利も本塁打もないマネジャーたちの活躍を記していく。

 創設99年の歴史を持つ東京六大学野球の春季リーグ戦はきょう13日に春季リーグ戦が開幕。17年春以来の優勝を目指す立大は第2試合で早大と開幕戦を戦う。主務としてベンチ入りする遠山夏澄マネジャー(4年)は「初めてベンチに入るのでワクワクしています。」と言葉を弾ませた。
 
 選手たちをまとめ上げるリーダーが「主将」であり、野球部の運営を担い、部外との窓口も担当するマネジャーたちのトップを「主務」という。東京六大学野球の名門・立大で大役を担う遠山主務だが、元々野球とは無縁だった。転機は駒場高校2年のとき。小学時代の先輩が甲子園に出場したことで野球に興味を持ち、高校野球の東京都大会を観戦。一投一打に沸く神宮球場の景色に衝撃を受け「感情が高ぶり、野球に携わりたい」と惚れ込んだ。

 目標は最短距離で追うスタイル。高校3年時には東京六大学野球のリーグ戦を観戦。同リーグ戦が常に神宮球場で行われていることを知り「大学では神宮で学生野球を」と明確な目標になった。それまで大学でやりたいこともなく内申点は3を切るほどだったが、一気に勉強への火がついた。学校の授業後は夜遅くまで予備校に通った。遅れたスタートを取り戻し、見事に立大の現役合格を勝ち取った時には「泣いて喜びました」。「合格」のスクリーンショットはいまでもスマホに残している努力の証だ。

 高校より自主性を求められる大学野球部ではマネジャーは重要度の高い存在になる。学生の本分である学業と、チームのスケジュール調整、会計、メディア対応などのマネジャー業務を両立する多忙な日々。雪だるま式にタスクをためてしまいチームのスケジュール管理で「大ミス」をしてしまった苦い思い出もあるが、「優先順位を明確にする重要性」を失敗から学び、一歩ずつマネジャーとして成長してきた。入部以来、リーグ戦優勝の経験はなく、一番の思い出は2年秋に準優勝したのフレッシュトーナメント。「その時の同期との盛り上がりがうれしかった」と何より勝利を渇望している。

 昨秋の新チームから主務に就任。憧れの背中がある。2学年上の大河原すみれマネジャーは立大史上初の女性主務を務めた。「優しくて、凄く人当たりが良い。外部の人からも“大河原さんって凄いよね”という話しをよく聞きました。人の気持ちをプラスにできる方で、丁寧に仕事を向き合うことでマネジャーを束ねることにつなげていた。憧れの人です」と理想の主務像に掲げる。

 いよいよ始まる春季リーグ戦。「応援したいと思われるようなチームを目指していきたいです」と遠山主務。名門復活へ、新しい春を選手とともに駆ける。(柳内 遼平)
 
 ◇遠山 夏澄(とおやま・かすみ)2002年(平14)8月14日生まれ、東京都江戸川区出身の21歳。小1かいら駒場高校時代までは硬式テニスをプレー。好きな選手はタイガース・前田健太。趣味は「ラジオを聞くこと」。憧れの人は立大の2学年先輩で野球部主務を務めた大河原すみれさん。立大ではコミュニティ福祉学部スポーツウエルネス学科に所属。

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