藤浪からの年賀状に記されていた決意 「捲土重来」の志から「勇往邁進」を期して海を渡る

[ 2023年1月15日 07:00 ]

「捲土重来」の志に至った藤浪は海を渡って勇猛果敢に戦う
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 【記者フリートーク】

 「捲土重来(けんどちょうらい)の志で頑張ります」

 ちょうど1年前の正月に届いた年賀状に、記されていた。差出人は藤浪晋太郎。その意味は「物事に一度、失敗した者が非常な勢いで盛り返すこと」。すでに21年オフの時点でメジャー挑戦の決意を固めていた右腕。近年の低迷を正面から受け入れた上で、阪神ラストイヤーと位置づけた年へ臨む思いを4文字で表現したのだった。

 「新たな夢に向かって勇往邁進(ゆうおうまいしん)します」
 そしてこちらは今年の年賀状にあった。辞書には「恐れることなく目標に向かって、ひたすら前進すること」などとある。メジャー挑戦を決めた23年。不安もあるだろうが、それを大きく上回る期待を胸に、新天地へ向かう。その決意が4文字に凝縮されていた。

 入団から3年連続2桁勝利など順風満帆に歩み始めたプロ野球人生は、極度の制球難に陥った5年目の17年以降に暗転。その後の艱難辛苦(かんなんしんく)の日々は想像を絶する。長い低迷に耐え忍んで「捲土重来」の志に至り、「勇往邁進」を期して海を渡る。

 藤浪を初めて取材したのは大阪桐蔭高1年時だった。「取材とか受けるの好きなんですよ。いろいろ、お話を聞かせてもらえるのが楽しいので」と話した無邪気な顔が、なつかしい。あれから今年で14年目。希望に満ちた顔、得意げな顔、落胆した顔、憔悴(しょうすい)した顔…さまざまな表情を見てきた。そして昨年12月に会った藤浪は覚悟を決めた男の顔になっていた。

 取材を通じて幾度となく記録的瞬間に立ち会えた。酒席で言い合いになったことも良い思い出だ。堅忍不抜、初志貫徹…贈りたい言葉はいくつもあるが、とりあえず今年からは異国の地で勇猛果敢に戦う「FUJINAMI」に、一喜一憂しようと思う。(10~12年アマ野球、13~18年阪神担当・惟任貴信)

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2023年1月15日のニュース